2012 Fiscal Year Research-status Report
sTLRに着目した難病劇症肝不全に対する新治療法の開発と国際研究拠点の構築
Project/Area Number |
24591888
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50197513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30573414)
篠田 昌宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50286499)
西山 亮 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70528322)
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80245464)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | sTLR / HMGB1 / 急性肝不全 / 肝細胞移植 / 体外循環 |
Research Abstract |
劇症肝不全は、急速に肝不全に陥る予後不良な疾患で、血漿交換と血液濾過透析を組み合わせた体外循環療法など内科的治療が施行されているがその効果は十分ではない。脳死肝移植が始まり移植件数は増加しているものの、未だ臓器不足問題があり、限られた臓器提供を考えると肝移植に代わる新しい治療法の開発が期待されている。当グループでは劇症肝不全患者に対し血漿交換、肝移植などの治療を行うとともに、基礎研究に力をいれてきた。本研究では、各種炎症性疾患で治療標的として注目されている核内タンパクHigh mobility group box-1 (以下HMGB1)とその可溶性受容体(sTLR)に着目し、遺伝子治療、細胞移植、体外循環治療などの特殊技術に絡め、研究・開発を進める。さらにHMGB1国際的研究ネットワークの中で先導的拠点の構築を目指す。sTLRは生体で生理的に産生されるタンパクで、臨床応用可能かつHMGB1阻害に重要なkey mediatorと位置付け、大量sTLRがHMGB1による細胞内炎症シグナル伝達を阻害するという仮説を立て、平成24年度は、まず、COS-TPC 法を用いて、HMGB1 sTLR cDNA を組み込んだ組換えアデノウィルス(Adex-sTLR)の作製に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々はCOS-TPC 法を用いて、HMGB1 Abox cDNA を組み込んだ組換えアデノウィルス(Adex-Abox)をすでに作製しているため、同様にsTLRで行っている。これが作製されれば、Adex-sTLR感染Hela細胞の上清を同時添加し、HMGB1のマクロファージ細胞に対するTNF放出刺激が阻害されるかの検討、ラット(Wistar系雄性)門脈内に投与し、肝臓への導入の検討等は、すでにAboxの実験で行っているため、比較的容易に遂行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで当教室では、各種の炎症性サイトカインの阻害剤アデノウイルスベクターを開発、成果を報告してきた。その経験をもとにAdex-sTLR感染Hela細胞の上清を同時添加し、HMGB1のマクロファージ細胞に対するTNF放出刺激が阻害されるかの検討、ラット(Wistar系雄性)門脈内に投与し、肝臓への導入の検討、さらに、sTLR産生性肝細胞の作製と体外循環型リアクターへの埋め込みを行う予定である。 次に、小動物(ラット)急性肝不全モデルにおけるsTLR産生性肝細胞移植の効果の検討を行う。また、ウイルスを生体に全く投与しない治療法を開発する観点から、sTLR産生性肝細胞をリアクターに内蔵し体外循環下に使用する方法も検討する。小動物にて結果が得られれば、臨床応用を念頭におき、大動物(ブタ)を用いた研究を行う。さらに、倫理委員会申請の上、患者血清を用いて生体、脳死移植患者におけるHMGB1、sTLR動態の検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費に関しては当研究室所有の物品を使用したため、当該年度の使用額はなく、また、旅費に関しても、当該研究費から使用しなかったため、繰越額が生じた。次年度は小動物(ラット)を用いた研究を行い、小動物(ラット)急性肝不全モデルにおけるsTLR遺伝子導入効果の検討を行うため、ラットの購入、薬剤性劇症肝不全を誘発するD-ガラクトサミン、免疫染色、ELISA、PCR、採血等の研究費用を要する。また、国内外の学会発表のための旅費、共同研究者との通信費なども必要であると考えられる。
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Research Products
(21 results)