2013 Fiscal Year Research-status Report
癌におけるCD44を介したROS制御機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
24591912
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石本 崇胤 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 特任助教 (00594889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩槻 政晃 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (50452777)
別府 透 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70301372)
|
Keywords | 癌幹細胞 / CD44 / 活性酸素 / 治療抵抗性 |
Research Abstract |
申請者らはCD44vがシスチントランスポーターのサブユニットであるxCTタンパク質と相互作用し安定化することで、細胞外からのシスチンの取り込みを増大させると共に、主要な抗酸化物質である還元グルタチオンの産生を高め、癌細胞の抗酸化能を亢進させること。シスチントランスポーターの特異的阻害剤であるスルファサラジンには、肺転移巣の形成や腫瘍増大を抑制すると共に抗癌剤感受性を向上させる効果があることを見出した。さらに頭頸部扁平上皮癌細胞におけるCD44v-xCTによる酸化還元状態制御機構の意義を明らかにすると共に、xCT阻害剤が、CD44v陽性腫瘍細胞を選択的に標的とすることを報告した。本年度は、肝細胞癌におけるxCT発現と腫瘍進展ならびに予後との関連性について示した。更には、胃癌自然発症モデルマウスを用いたスルファサラジン治療実験の結果、胃癌の前がん病変と考えられるspasmolytic polypeptide–expressing metaplasia (SPEM)の発生を抑制することにより多段階的な胃癌発生を予防する可能性がある事を生体レベルで明らかにした。以上より、xCTを標的とした治療はCD44v陽性の未分化な癌細胞を標的とするだけでなく、前がん病変であるmetaplasiaにおいてもCD44v陽性の化生細胞を標的とすることが明らかとなり、癌の治療および予防に効果的な治療法を開発できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づいて研究を遂行しており、得られた研究成果を学会発表ならびに科学研究誌へ報告している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果からCD44v発現が高い癌細胞は、低い細胞と比較してxCT活性への依存性が高いこと、胃癌自然発症モデルマウスであるK19-Wnt1/C2mEマウスにおいてxCT阻害剤の治療効果はCD44v陽性の未分化な癌細胞を標的とするだけでなく、前がん病変であるmetaplasiaにおいてもCD44v陽性の化生細胞を標的とすることが示された。さらに今回の結果を踏まえて、癌細胞においてCD44vが高発現するメカニズムを明らかにすることで、xCT阻害剤だけでなく新たな治療標的を創出するための解析を進めていく。申請者らは、CD44発現を制御する因子としてmicroRNAに注目しており、microRNAを介した発現制御メカニズムについて網羅的解析に基づき同定されたmicroRNAの機構解析を進める。また、臨床検体からの解析も同時に進めており術後検体のみならず末梢血中に存在するCTC(circulating tumor cell)の分離をおこない、CD44およびxCT発現意義について解析をおこなっていく。細胞株や胃癌自然発症モデルマウスによる解析から見出したCD44v-xCTによる酸化還元状態制御機構の意義をhuman sampleを用いて検証することが可能であり、臨床応用へ向けた礎となり得る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の想定より、消耗品を安価で購入することができたため。 実験動物の購入・飼育費及び消耗品費に充てる。また、関係書類の整理、研究成果発表のためのデータ収集、整理、保管を行ってもらうための人件費に充てたいと考える。
|
-
[Journal Article] Cystine/glutamic acid transporter is a novel marker for predicting poor survival in patients with hepatocellular carcinoma2013
Author(s)
Kinoshita H, Okabe H, Beppu T, Chikamoto A, Hayashi H, Imai K, Mima K, Nakagawa S, Ishimoto T, Miyake K, Yokoyama N, Ishiko T, Baba H.
-
Journal Title
Oncology Reports
Volume: 29
Pages: 685-689
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Functional role of CD44v-xCT system in the development of spasmolytic polypeptide-expressing metaplasia2013
Author(s)
Wada T, Ishimoto T, Seishima R, Tsuchihashi K, Yoshikawa M, Oshima H, Oshima M, Masuko T, Wright NA, Furuhashi S, Hirashima K, Baba H, Kitagawa Y, Saya H, Nagano O.
-
Journal Title
Cancer Science
Volume: 104(10)
Pages: 1323-1329
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-