2013 Fiscal Year Research-status Report
肺癌のプログレッション抑制を目指したTM4SFとWntによる網羅的シグナル解析
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24591926
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
黄 政龍 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究主幹 (10271511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 剛 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 主任研究員 (80402840)
福井 基成 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第12研究部, 部長 (50342697)
竹村 昌也 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教(Research Associate) (30378707)
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Keywords | 癌 / プログレッション / TM4SF / Wnt / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
我々はTransmembrane 4 superfamily (TM4SF)とWntのシグナル系に関わる機序を解明し,プログレッションの抑制に有効な癌治療の新規ターゲットの探究を行っている.まず,ヒト癌細胞株におけるTM4SF発現とWnt発現の定量を行った結果,A549とHT1080をCD9減弱癌細胞株,A549とMAC10をCD82減弱癌細胞株,A549をWnt1高発現癌細胞株,A549とHela, PANC1をWnt2B高発現癌細胞株,A549とMAC10をWnt5A高発現癌細胞株とした.次に,非増殖型アデノウィルスベクターを用いて,TM4SF減弱癌細胞株へのTM4SF誘導(CD9誘導ベクターとCD82誘導ベクター)とWnt高発現癌細胞株へのshRNA発現によるWnt抑制(Wnt1抑制ベクター,Wnt2B抑制ベクター,Wnt5A抑制ベクター)について,in vitroの遺伝子治療実験をそれぞれ行い,機能的解析を行った.その結果,CD9減弱癌細胞株であるA549とHT1080では,CD9誘導ベクターによりTranswell 法で細胞運動能の抑制がみられた.同様に,CD82減弱癌細胞株であるA549とHelaに対するCD82誘導ベクターでも細胞運動能の抑制がみられた.更に,Wntシグナルでは,Wnt2B高発現癌細胞株であるA549とHela, PANC1に対して,Wnt2B抑制ベクターがMTTアッセイで強力な細胞増殖抑制を認め,更にフローサイトメーターとTUNEL法でもアポトーシスの誘導が見られた.一方,Wnt1抑制ベクターとWnt5A抑制ベクターによる細胞増殖抑制とアポトーシス誘導の効果は少なかった.これらの結果から現在我々は,CD9誘導+Wnt2B抑制による遺伝子治療とCD82+Wnt2B抑制による遺伝子治療における機能的解析を継続して行っている.その中で,CD9誘導自体がWnt2B発現を抑制することより,CD9誘導+Wnt2B抑制の遺伝子治療の方が,Wnt標的遺伝子であるc-Mycとsurvivinの発現抑制が強くみられ,その結果として腫瘍増殖抑制効果がより強く認められている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト癌細胞株におけるTM4SF発現とWnt発現の評価は既にできている.また,TM4SF誘導ベクター(CD9誘導ベクターとCD82誘導ベクター)とWnt抑制ベクター(Wnt1抑制ベクター,Wnt2B抑制ベクター,Wnt5A抑制ベクター)はそれぞれ作製済みである.その中で,TM4SF減弱癌細胞株へのTM4SF誘導とWnt高発現癌細胞株へのWnt抑制についての遺伝子治療実験を行い,それらの機能的解析も順調である.特に本研究計画はTM4SF誘導とWnt抑制というダブル遺伝子治療であるため,CD9の発現ユニット(CD9誘導)とWnt2BのshRNA(Wnt2B抑制)をともに搭載したダブルリポソームベクターの作成に取り組んでいる.そして,機能的解析実験を繰り返し,その再現性を確認している.
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Strategy for Future Research Activity |
プログレッション抑制に有効なTM4SF誘導とWnt抑制の組み合わせで遺伝子治療実験を行い,cDNAマイクロアレイとmiRNAマイクロアレイによる発現変化の網羅的解析により,癌におけるプログレッションの抑制に有効と考えられる新規治療ターゲットを選別する.これまでの研究成果から現在我々は,CD9誘導+Wnt2B抑制による遺伝子治療とCD82+Wnt2B抑制による遺伝子治療における機能的解析を継続して行っている. そして,選別した新規治療ターゲットについて,肺癌組織と患者宿主における臨床的解析を行う.解析方法としては,まずこれまで保存していきた肺癌組織における新規治療ターゲットの発現について,real-time RT-PCRで発現を定量し,免疫組織化学法で蛋白発現を評価する.そしてKi67指数による増殖能評価とCD34染色による血管新生評価で機能的解析を行う.そして,リンパ節や遠隔臓器への転移能や予後解析についても臨床的解析を行う.更に,患者宿主における炎症反応(CRP,好中球数など)や免疫系(リンパ球数,サイトカインなど)との関連についても臨床的解析を行う.
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Research Products
(4 results)