2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24591967
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
崎浜 秀康 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (50533676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
神山 俊哉 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80322816)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 循環腫瘍細胞 / 骨髄腫瘍細胞 / 微小転移 / 消化器癌 / 予後 / 治療方針 |
Research Abstract |
(研究の全体構想)消化器癌(胃癌、大腸癌、肝細胞癌、膵癌)における微小転移(末梢血、骨髄)を同定し、これらを治療効果判定マーカー、予後マーカー、治療のターゲットとして臨床的に普及させること。 (研究の具体的目的)①消化器癌患者の末梢血や骨髄血中の腫瘍細胞を同定し、病理組織学的因子、無再発生存期間、全生存期間との関係を調べる ②上記の同定された腫瘍細胞中で、実際に転移をおこす細胞に特異的なマーカーを調べる ③末梢血、骨髄血の腫瘍細胞を抽出培養し、化学治療や分子標的薬への感受性を調べる。 (本研究計画の意義)CTC (循環腫瘍細胞)やDTC (骨髄腫瘍細胞)を同定する意義について、第一に予後因子となるということである。臨床病理学的stage分類において、同一stageの症例でも予後に大きな差が認められる。微小転移の検出により、再発や転移の有無などを正確に予測できる可能性がある。次に手術術式の決定に対する役割である。CTCやDTCが全身への血行性転移を示すのであれば、拡大もしくは縮小手術の適応決定に大きく影響する。次に、術後化学放射線療法の効果を判定するためのpredictive markerとしての役割が考えられるCTCの推移により治療効果判定ができるのであれば、化学療法による負担の軽減や、より有効なレジメンを選択につながる可能性がある。最後に、CTCなどの質的検索により、患者の状態をリアルタイムに反映しうる”Liquid biopsy”としての役割がある。術後化学療法は、原発腫瘍の病理組織学的所見を基に選択されるが、これは術後の状態を正確に反映していない可能性がある。刻々と変化しうる患者一人一人の状態をリアルタイムに把握し、治療法を選択することが可能となり、テーラーメード治療の一翼を担うものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①大腸癌:現在まで139例の症例の解析を施行。1. 大腸癌患者139名のうち、29名(20.9%)にCTCを認めた。また、41名中12名 (29.3%)にDTCを認めた。DTC陽性症例の中で、CTCも陽性だったのは4例(33.3%)であり、CTC陽性症例13名中、DTC陰性例は9例 (69.2%)であった。2. CTCと臨床病理学的因子との関係で、術前血清CA19-9値と深達度が、有意にCTC陽性と相関した。3. 139例中13例に再発を認め、うち7名はCTC陽性(53.8%)であった。CTC陽性例は、有意に再発と相関した(p<0.01)。再発に対するCTC 陽性例のリスク比は4.4であった。4. 骨髄血を採取した41名中5名に再発を認め、うち4名はDTC陽性(80%)であった。DTC陽性例は,再発と相関し (p=0.01)、リスク比は9.7であった。 ②肝細胞癌:肝細胞癌患者17名の末梢血10mlと12名の骨髄血4mlを手術前採取した。Ficoll処理にて単核球を抽出した後、 Magnet cell sorting (MACS) にてCD45-かつCD14-細胞を分離した。その後、AFP,(or Arginase1,HepPar1),CD45,Dapiによる多重染色を施行し,AFP+CD45-Dapi+かつ10um以上の細胞をCTC,DTCとした。(結果) 肝細胞癌:現在まで17例の解析を施行。1.患者のCTC、DTCの陽性率はそれぞれ70.5% (12/17)、75.0% (9/12)。CTC、DTC陽性症例1における、低分化肝細胞癌の頻度はそれぞれ50.0%、66.6%であったが、陰性例では20% 、0%であった。再発に関してCTC、DTC陽性例で33.3%、55.5%、陰性例は20%、0%となり、陽性例で高い再発率を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸癌及び肝細胞癌におけるCTCやDTCの同定方法は、平成24年度中にほぼ確立したと考えている。今後、同定のみならず質的特徴 (研究実績の概要の欄、具体的研究目的②)を検索していきたい。具体的には『CTCやDTCがcancer stem cellマーカーを有する場合、より転移しやすい』という仮説のもと、同定されたCTCやDTCを蛍光染色にて上記マーカーを発現していくか調べる予定である。また、今後 検出したCTCやDTCの培養が可能か 調べていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗体や、蛍光顕微鏡のフィルターなど購入する予定である。また現在までの結果を 日本外科学会、日本癌学会、日本消化器外科学会に報告予定である、
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