2012 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の循環癌幹細胞による分子標的薬治療効果予測診断と臨床応用
Project/Area Number |
24591984
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
飯沼 久恵 帝京大学, 医学部, 講師 (30147102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 英樹 帝京大学, 医学部, 助手 (50525269)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920)
端山 軍 帝京大学, 医学部, 助手 (80533744)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 大腸癌 / 癌幹細胞 / 予後予測 / 再発予測 / 治療効果予測 |
Research Abstract |
我々はこれまで、大腸癌における末梢循環癌細胞(Circulating tumor cell: CTC)が、従来の病理因子を凌ぐ癌の再発および予後予測因子であることを報告してきた。その一方で、EpCAMやサイトケラチンといった従来の上皮系マーカーでは悪性度の高いCTCを見逃す危険があること、さらに早期の大腸癌においては、新たなバイオマーカーの開発が必要であることも明らかとなった。 本年度は、まずCTCの特徴を、共焦点顕微鏡を用いた形態学的観察により、癌幹細胞およびEpithelial-Mesenchymal Transition(EMT)関連発現分子の面から検討した。その結果、従来の上皮系マーカーであるサイトケラチンやCEAを発現しているCTCの中に、癌幹細胞マーカーであるCD133やLgr5を高発現している細胞が存在することが明らかとなった。 次に、大腸癌原発部組織からレーザーマイクロダイゼクション法で癌組織を採取し、DNAアレイを用いた網羅的遺伝子解析を行なった。正常部組織や末梢血で発現のない転移・再発関連遺伝子をスクリーニングし、その中で癌幹細胞やEMTに関連性のある遺伝子マーカーを、データマイニング等により抽出した。さらに、大腸癌原発部組織およびCTCより、FACSにより癌幹細胞 (CD133+CD44+)とそうでない癌細胞(CD133-CD44-) 細胞をソーテイングし、次世代シークエンス等により遺伝子解析を行い、抽出した遺伝子発現が癌幹細胞に特異的に発現するものかどうかを確認した。現在、これらの、大腸癌癌幹細胞およびEMTに関連した転移・再発遺伝子を加えたmulti-markerパネルを用いて、予後予測バイオマーカーとしての有用性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的である、大腸癌原発組織およびCTCを用いた網羅的遺伝子解析や次世代シークエンスが終了し、転移・再発に関連した遺伝子、および癌幹細胞やEMTに特異的に発現している遺伝子を抽出した。さらに、大腸癌血液サンプルを用い、これらの遺伝子を加えたCTC multi-markerパネルのバイオマーカーとしての有用性の検討も開始している。また並行して、化学剤投与例および分子標的薬投与症例のサンプリングも定期的に行っている。そのため、本年度の研究の進捗状態は、ほぼ順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大腸癌約500症例の末梢血サンプルを用いて、新たに抽出した遺伝子を含めたCTC パネルのバイオマーカーとしての有用性を検証する。 まず、早期癌に対する再発・予後予測マーカーとしての有用性を検討する。次に化学療法剤(FOLFOX, FOLFIRI)や分子標的薬(セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシツマブ)を投与した症例の末梢血を用い、治療効果予測マーカーとしての有用性を検討する。これらの目標を達成するために、臨床症例の取りこぼしがないよう、血液のサンプリングやCT・MRIといった臨床効果の画像診断を、慎重かつ丁寧に行う。さらに、大腸癌株化細胞に今回抽出した新たな遺伝子をTransfectし、その機能解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度交付予定金額150万円のうち、機能解析に50万円、CTC multi-markerパネル作成に50万円、臨床サンプルを用いたreal-time RT-PCRによる測定に50万円使用する。
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Research Products
(25 results)