2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植後の肝癌再発進展に於ける腫瘍関連マクロファージの役割と分子機序の解明
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24592004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池上 徹 九州大学, 大学病院, 助教 (80432938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
調 憲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264025)
吉住 朋晴 九州大学, 大学病院, 講師 (80363373)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肝移植 / 肝細胞癌 / 好中球リンパ球比 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝癌に対する肝移植の適応を決める上で、腫瘍径・個数を組み合わせるだけでは、適応基準内でも再発する症例が存在する。肝癌への肝移植適応基準として、(i)腫瘍径と個数、(ii)腫瘍マーカーに加え、さらに新しい第3のパラメーターを加えることが必須である。我々は、好中球/リンパ球比(NLR:Neutrophil-Lymphocyte ratio)に注目した。肝細胞癌に対して生体肝移植を施行した症例で検討を行った。NLR(好中球リンパ球比)NLR>4がp<0.0001で最も肝癌再発に強く影響を与えていた。ミラノ基準内(n=94)あるいは基準外(n=64)のいずれに於いても無再発生存率はNLR>4にて有意差(それぞれp=0.0008およびp=0.0002)を認めた。肝移植後肝癌再発における症例で検討を行った。多変量解析では、好中球/リンパ球比(NLR)>4(p=0.03)、組織学的腫瘍径>5cm(p=0.03)、最終治療から肝移植までの期間<3ヶ月(p=0.01)が再発危険因子であった。それら再発症例に於いて、再発までおよび再発から死亡までの平均期間はそれぞれ3.7年および1.7で年であった。一方、再発後の生存率は、男性(p<0.01)、再発時AFP<300mAU/ml(p<0.01)、好中球/リンパ球比(NLR)<4 (p<0.01)、再発病変に対する外科的切除可能である(p<0.01)症例にて於いて有意に良好であった。NLR>4の症例では、腫瘍周囲のIL-17の発現および血清中IL17の濃度が有意に高値であった。よって腫瘍周囲の環境がIL17の発現を介して腫瘍の進展に関わっている事が明らかとなった。高NLRであることは腫瘍周囲の炎症細胞環境、特に腫瘍関連マクロファージとIL-17の影響による腫瘍細胞の活性化を意味するが、VEGFなどの関与の可能性が低いことが明らかとなった。
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