2012 Fiscal Year Research-status Report
組織幹細胞マーカーによる膵癌幹細胞の同定と周囲微少環境との相互作用の解明
Project/Area Number |
24592020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉富 秀幸 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60375631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉留 博之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10312935)
宮崎 勝 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70166156)
中島 正之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80466705)
大塚 将之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90334185)
鈴木 大亮 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90422229)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵癌 / 癌肝細胞 / 癌間質 / Sox9 / TenascinC |
Research Abstract |
本研究の目的は膵癌の悪性化の分子機構を明らかにし、新規治療法を開発することにある。特に、膵組織における幹細胞のマーカーであるSox9に注目し、膵癌でSox9発現細胞が果たす役割について検討した。まず、膵癌外科切除標本を使用して、Sox9の発現を免疫染色法で検討した。膵癌組織では癌細胞の一部に発現を認めた。癌細胞中のSox9発現細胞の割合が25%以上発現する強発現群と25%未満の弱発現群に分け、臨床病理学的因子との比較を行ったが、分化度、ステージなどの因子との関連は認めなかった。両群における生存期間を検討すると術後無再発生存期間は両群間に差がないものの、全生存期間では有意にSox9弱発現群の予後が良好であった。また、多変量解析ではSox9の発現の強弱は独立した予後因子であった。 癌肝細胞がその形質を維持するためには周囲の微小環境(niche)が重要とされる。そこで、nicheに発現する細胞外マトリックスのTenascin C (TNC)の膵癌組織における発現を免疫染色にて検討した。TNCは癌細胞を取り巻くように存在した。TNCの発現を認める症例と認めない症例に分けて生存期間を検討したところ、TNC発現症例は非発現症例に比して無再発生存期間、全生存期間ともに予後不良であり、TNCが癌細胞に対し悪性化の一助をになっている可能性が示唆された。また、膵癌の悪性進展に関与するとされ、TNCと重合するとされるFibronectin (FN)の発現も免疫染色で検討したところ、これらの両者が近接して発現しており、これらが重合して癌細胞に対し何らかの影響を与えている可能性が示唆された。今後、Sox9発現細胞とTNCとの相互作用がないか、免疫染色法、および細胞株を利用した実験により解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的とした免疫染色によるSox9の膵癌組織での発現を検討し、臨床病理学的因子との関連を検討することを達している。現在は細胞株における実験を中心に施行しており、次年度はこれによりSox9の機能を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌細胞株のSox9およびTenascinCの発現について検討している。これらの発現が認められれば、発現している細胞株を用いて、幹細胞としての能力が存在するかどうかをSphare assayを行う。これにSox9の発現をsiRNA等を使用して低下させることでSphare形成能、細胞増殖能などに変化が起きないか検討する。 また、TenascinC coating dishを用いて細胞を培養することで、Sox9等の幹細胞マーカーの発現がどのように変化するかを検討し、tenascinCが幹細胞の維持にどのような役割を果たしているか、加えて癌のepitherial mesenchymal transitionの誘導能などがないかを検討する予定である。 このような検討を加えて膵癌におけるSox9発現幹細胞の働きについて検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として消耗品購入に充てる予定である。特に細胞実験用の培養液、試薬、免疫染色用の抗体などである。 また、成果発表のための旅費についても計上する予定である。
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Research Products
(5 results)