2013 Fiscal Year Research-status Report
膵癌微小環境を構築する星細胞のphenotypingとその制御による新規治療開発
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24592031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 純二 九州大学, 大学病院, 助教 (90529801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅夫 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30163570)
永井 英司 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264021)
江上 拓哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (40507787)
宮坂 義浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40507795)
冨永 洋平 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (90304823)
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Keywords | 膵癌 / 膵星細胞 / 癌間質相互作用 / CD271 / podoplanin |
Research Abstract |
本研究の目的は、膵癌の微小環境における重要な因子である膵星細胞のphenotypingを行うことで、膵癌細胞との相互作用においてより重要な働きを担っている細胞群を同定し、それを制御することによって膵癌の新規治療法開発を目指すことである。 本年度は、まず当研究室で樹立したヒト膵癌切除組織由来の膵星細胞の表面抗原をフローサイトメトリーを用いて解析した。CD271というタンパクに着目し、樹立した膵星細胞12種類を解析すると、CD271陽性細胞は0.0-2.1%の割合で認めた。また、膵癌細胞と膵星細胞とを共培養することによる膵星細胞の遊走能を検討したところ、より遊走能の高い膵星細胞集団の方が、そうでない細胞集団に比べてCD271のmRNA発現量が少ないことが明らかになった。次に、免疫組織化学染色法でヒト膵癌切除組織におけるCD271の発現を検討したところ、CD271は腫瘍の中心部分ではなく、腫瘍辺縁の間質に発現する傾向があることが明らかになった。さらに、CD271の陽性率と臨床病理学的因子との関連についても解析を行い、CD271の発現が強いほど予後が良好であることが判明した。以上のことから、CD271は一過性のマーカーであり腫瘍形成の早期の段階で膵癌間質に発現すること、さらにはCD271陽性細胞が癌間質相互作用において癌細胞に対して抑制的に働いていることが示唆された。 また、リンパ管新生に関与するタンパクであるpodoplaninについて、膵星細胞における機能解析を行ったところ、podoplanin陽性細胞が陰性細胞と比較して膵癌細胞の浸潤能を増強することを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵星細胞の表面抗原の解析による特異な性質を有する膵星細胞集団を明らかにすることを目標に本研究を行っているが、CD271陽性膵星細胞が膵癌に対して抑制的に働いているという新たな知見を得ることができた。さらにはpodoplanin が膵癌の浸潤能を増強することも解明した。これらは膵癌の微小環境のphenotypeの違いが癌間質相互作用の差異を生み出していることを示したという点で重要であり、おおむね研究は順調に進展していると言える。 その一方で、CD271やpodoplaninが具体的にどのような機序で癌細胞へ作用しているのかについての詳細は未解明であり、今後も研究を進めていく。 また、CD271陽性細胞のセル・ソーターによる分離について試みてはいるものの、CD271の発現が動的であることが原因で、細胞の分取が現状では実現できてない。
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Strategy for Future Research Activity |
セル・ソーターを用いて、CD271陽性細胞を高純度かつ安定期に分取する技術の確立を目指す。それが困難であった場合には、リボ核酸干渉(RNAi)によるノックダウンや、強制発現によりCD271の発現量を制御する手法を用いてCD271の機能解析を行う予定である。具体的には、CD271陽性/陰性膵星細胞と癌細胞との間接共培養下での膵癌細胞の増殖能、遊走能、浸潤能の評価を予定している。 これにより既知の結果を補完する成果が得られれば、その責任遺伝子の検索も行う。また、マウスへの膵星細胞と膵癌細胞の同所共移植実験により、CD271陽性膵星細胞の腫瘍形成能、転移能などへの影響についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね研究は順調に進展しており資金を効率的に使用できたため。 試薬類30万円、抗体10万円、リボ核酸干渉・遺伝子強制発現50万円、実験用マウス60万円、実験用ガラス器具25万円 研究成果発表費10万円、論文投稿料10万円
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Research Products
(4 results)