2013 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームを介した細胞外miRNA分泌に注目した癌間質相互作用研究の新展開
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24592032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
当間 宏樹 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (80437780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅夫 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30163570)
冨永 洋平 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (90304823)
大内田 研宙 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 講師 (20452708)
宮坂 義浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40507795)
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Keywords | 膵癌 / microRNA / エクソソーム / 癌間質相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、エクソソームを介した細胞外miRNA分泌という新たな細胞間コミュニケーションに注目し、特に膵癌における癌間質相互作用での役割の解明が目的である。 まず我々が膵癌切除組織から樹立した膵星細胞の培養上清中に放出されたエクソソームを回収し解析を行ったところ、miRNAの純度が保てずに正確な発現解析を行うことは困難であった。このため、過去に我々が報告したmiR21, miR31,miR34a, miR200c, miR204に続いて、膵癌細胞株における転移に関わるmiRNAの解析を行った。 具体的には肝転移能の高い膵癌細胞株(高転移株)と肝転移能の低い膵癌細胞株を用いて、両者におけるmiRNAの網羅的発現解析を行った。その結果、miR614・miR3178・miR4745-5pの3つが高転移株で高発現しており、miR16-5p・miR192-5p・miR194-5pの3つが低発現していることを見出した。 miR16はBcl2を介してマウスの活性型膵星細胞のアポトーシスを誘導するとされ、miR192についてもsmad-interacting protein 1 (SIP1)を介して膵癌の増殖能や遊走能を上昇させることがこれまでに報告されている。このことからも、本研究で明らかにしたこれらのmiRNAが癌間質相互作用、とくに転移を促進する方向へ作用している可能性が示唆された。現在、これらのmiRNAを候補として、膵星細胞との関係及びエクソソーム内での発現変動を解析している。今後は、エクソソーム内での発現変動を認めたmiRNAに関して受け手の細胞内で機能するか、癌間質相互作用の観点より癌細胞-膵星細胞間のmiRNAの受け渡しや細胞内でのmRNA抑制について検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
癌細胞、間質細胞におけるmiRNAの発現解析を行い、さらに共培養条件下での発現解析も行っている。以上より、膵癌の癌間質相互作用及び転移に関わるmiRNAの同定は進んでいるが、エクソソーム中のmiRNAに関しては純度が保てないため解析に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソーム内在miRNAに関しては、現在までに試した方法では純度の高いmiRNAが検出できなかったため、最適な回収方法を早急に検討する。エクソソーム内在miRNAが癌間質相互作用に及ぼす影響についての検討として、実際に放出されたエクソソーム内在miRNAが受け手の細胞内で機能するか、癌間質相互作用の観点から癌細胞-膵星細胞間のmiRNAの受け渡しのメカニズムや細胞内でのmRNA抑制の機構についても明らかにする。さらにin vivoにおいて膵癌の増殖・浸潤・転移・血管新生の誘導に影響を与えるかについても解析する。 バイオマーカーとしてのmiRNA定量解析の意義の検討として、マイクロアレイで同定されたkey miRNAを参考に、体液中の遊離miRNAの診断的意義につき検討する。 最近4年間に採取した膵液検体約80例を対象とし、新規に特定したmicroRNAの発現profileを作成し、膵液診断に有用なmarkerを選択する。さらに随時ERCP下に膵液を採取して、prospectiveな解析を行う。また、膵癌患者と健常人の血清中miRNAの相違についても検討を加える。膵液よりmiRNAを定量解析する技術は確立済みではあるが、多検体の正確な比較のため、内部標準miRNAの同定も試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発現解析などが進まず計画に遅れが生じているため。 試薬類30万円、抗体10万円、リボ核酸干渉・遺伝子強制発現50万円、実験用マウス60万円、実験用ガラス器具25万円 研究成果発表費10万円 論文投稿料10万円 マウス作成料50万円等
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