2013 Fiscal Year Research-status Report
心臓手術後心房細動発生のメカニズム解明に関する臨床研究
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24592075
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
瀬在 明 日本大学, 医学部, 講師 (70350006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩野 元美 日本大学, 医学部, 教授 (20170847)
中田 金一 日本大学, 医学部, 講師 (70328722)
吉武 勇 日本大学, 医学部, 助教 (60409034)
平山 篤志 日本大学, 医学部, 教授 (50459880)
笠巻 祐二 日本大学, 医学部, 准教授 (60318409)
中井 俊子 日本大学, 医学部, 助教 (80366591)
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Keywords | 心房細動 / 心臓手術 |
Research Abstract |
『研究1:心臓手術後の心房細動発生に影響を与える因子についての臨床研究』は、現在まで801例が登録され、その途中経過を各学会のシンポジウム、セミナーなどで発表しました。塩酸ランジオロールが術後心房細動予防効果があることをJournal of Thoracic Cardiovascular Surgeryに報告し、その中でhANP使用例で非使用例に比べ、心房細動発生が有意に少ないことを認めました。hANPに関する研究において、術後心房細動は、hANP群12.2%、非使用群32.7%とhANP群で有意に低率でした。hANP群では、術後のangiotensin-II、 aldosterone、虚血biomarker、BNPが有意に低値で、多変量解析での危険因子は70歳以上、緊急手術、術前angiotensin-II濃度>20pg/ml、術前ARB未服用、術前Ca拮抗剤服用、術後hANP、アルドステロンブロッカー未服用でした。その要因として、1)RAASを抑制したこと、2) cGMPを介した心筋Ca2+過負荷抑制作用、3)抗虚血作用、4)利尿作用による容量負荷改善作用が考えられました。hANPは、塩酸ランジオロール同様、術後心房細動を予防する効果があることを初めて報告し、現在、論文をCirculation:Arrhtthmia and Electrophysiologyに提出しています。また術後心房細動の原因究明のため、現在、炎症を惹起させる脂肪の関与に関する臨床研究を行い、現在48例が登録され、Carto CT検査で左房周囲の脂肪量が多いことが明らかにされました。 『研究2:心房細動患者に対するメイズ手術後の心房細動再発因子についての臨床研究』は現在までに66例が登録され、調査中です。現在のところ、塩酸ランジオロールによる予防効果は認められませんが、hANP使用例の発生が少なく、左房拡大と線維化が危険因子である可能性が示唆されてきました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『研究1:心臓手術後の心房細動発生に影響を与える因子についての臨床研究』については、現在まで801例が登録され、『研究2:心房細動患者に対するメイズ手術後の心房細動再発因子についての臨床研究』については、現在までに66例が登録され、予定通りに両研究とも遂行出来ています。随時、途中経過については、主要学会で発表して行く予定で、論文についても症例がまとまり次第、報告出来る予定であります。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究結果から、術後の心房細動の発生には高齢者や心房の拡大などによる線維化が強く関与していることが明らかにされました。さらに炎症も強く関与している可能性も示唆されました。そこで炎症を惹起させる脂肪の関与も考えられるため、院内の臨床研究 審査会の承認を得、研究1、研究2の登録症例についても術前にCT検査による心臓周囲の脂肪量測定、血液生化学検査での炎症マーカーを測定し、平成25年4月より臨床研究を開始しました。以前より行っているデータと合わせて、さらに術後の心房細動の発生 について解明できる可能性があると考えており、現在、Carto CT検査で左房周囲の脂肪量が多いことが明らかにされました。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1年目(平成24年度)から2年目(平成25年度)にかけては、学会出張旅費が予定よりも少ない支出となり(開催地や滞在日程の都合上)、次年度使用額が生じました。 次年度は症例数も集まり、今年度に比べさらに研究結果が明らかにされてくると考えられますので、学会等での発表も増えることが予想されます。研究費使用計画に合わせて、学会参加費、旅費、外部委託検査費用、論文作成費用などに使用する予定で す。
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Research Products
(74 results)