2013 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞による肺移植後急性および慢性拒絶反応制御
Project/Area Number |
24592080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (90323104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 丘 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10195901)
佐渡 哲 東北大学, 大学病院, 助教 (20396485)
大河内 眞也 東北大学, 大学病院, 助教 (40375035)
大石 久 東北大学, 大学病院, その他 (60451580)
渡邉 龍秋 東北大学, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (70636034)
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Keywords | 肺移植 / 急性拒絶反応 / 間葉系幹細胞 / ラット |
Research Abstract |
Brown Norwayラットをドナー、Lewisラットをレシピエントとする主要組織適合性抗原完全不適合の組み合わせで同所性左片肺移植を行なった。このモデルにおいては、移植肺の急性拒絶反応が6日で完成する。初年度の研究では、肺移植直後に間葉系幹細胞(MSC)1.0×1000000cells / 1ml PBSを左上大静脈への直接穿刺で投与した。移植後6日目にグラフトを採取し、病理学的検索を行った。移植肺の急性拒絶反応のグレードは、MSC投与群、PBSのみ投与したコントロール群ともにstage IVのものが多く、大きな差異は見られなかった。しかし、MSC投与群では、移植肺における浮腫および出血がほとんどみられない個体も一部に見られた。この所見は、MSC投与による抗炎症作用の効果によるものと推測された。全体として当初期待したほどの拒絶反応抑制効果が得られなかった原因として、投与細胞数の問題、投与経路の問題などが考えられた。 今年度は、同じモデルを用いて、移植肺の肺動脈の直接穿刺によりMSCを投与する方法を試みた。肺移植後、肺動脈吻合部の末梢側の直接穿刺により、MSC 3.0×1000000cells / 1ml PBSを投与した。移植後6日目に移植肺を摘出し、肉眼的および病理学的評価を行った。PBSを投与したコントロール群では、全例で移植肺は茶褐色となり含気を完全に消失していたが、MSC投与群では、多くの移植肺は灰白色で、一部または全体に含気を保っていた。病理学的検索では、両群で同程度にリンパ球の浸潤を認めたものの、MSC投与群では、コントロール群に比較し、移植肺における浮腫ならびに肺胞内出血の所見が軽度である傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、間葉系幹細胞(MSC)の経静脈投与による移植肺急性拒絶反応抑制効果を検討したが、拒絶反応が抑制されていたのは一部の個体に留まっていた。本年度、投与経路を移植肺肺動脈からの直接穿刺へ変更し、また投与細胞数も3倍に増やしたところ、より明らかな拒絶反応抑制効果が観察された。研究は、おおむね計画通りに進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実験例数を増やすとともに、病理学的評価を亜定量的に行ってMSCの移植肺急性拒絶反応抑制効果についてさらに検討を進める予定である。また、移植肺内の炎症性/抗炎症性サイトカインの発現をRT-PCR法を用いて検索する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
翌年分として繰り越した額は44671円(予算の3.4%)であり、本年度は予算をほぼ予定通り執行した。 次年度は、研究計画の最終年度にあたるため、助成金は本年度同様、実験動物や試料の購入にあてるとともに、研究成果発表のための旅費および投稿料などに宛てる予定である。
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