2014 Fiscal Year Research-status Report
肺虚血再灌流障害の発症機序ー薬剤によるIPC現象の確立ー
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24592087
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
島本 亮 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90324524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 外科 / 移植・再生医療 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】これまで肺移植におけるドナー肺長期保存を可能にすべく、肺虚血再灌流障害(LIRI)の発症機序におけるToll-like receptor 4(TLR4)の役割を明らかにしてきた。特に、TLR4 を介した細胞内シグナル伝達においてMyD88依存経路がLIRIを、MyD88非依存経路(TRIF経路)がischemic preconditioning現象(IPC)を誘導することを報告した。そこでLPSの非毒化構造異性体であるmonophosphoryl lipid A(MPL)を用いた選択的MyD88非依存経路活性によるLIRIの抑制効果を評価し、pharmacological preconditioning(PPC)の可能性について検討した。 【方法】MPL(500μg/kg)及び生食を前投与したC57BL/6Jマウスに「60分間虚血+180分間再灌流」のLIRIを負荷し(投与群/非投与群)、肺障害(permeability index[PI]、肺胞洗浄液[BALF]中の細胞数、MPO活性)、及びMyD88/TRIF/NF-κB活性を測定した。対照として「5分間虚血+5分間再灌流+5分間虚血+5分間再灌流+5分間虚血+30分間再灌流+60分間虚血+180分間再灌流」のIPC+LIRIモデルを用いた(IPC群)。 【結果】MPL投与群では非投与群と比べLIRIは有意に抑制された(PI: P<.05、MPO活性: P<.01)。同時にMPL投与群では非投与群と比べLIRI負荷直前でTRIF及びNF-κBの有意な活性化を認めた(P<.05)。これらの結果はIPC群とほぼ同等であった。 【結語】MPLを用いた選択的MyD88非依存経路(TRIF経路)の活性よるPPCの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
交付申請書に明記した「平成26年度の研究実施計画」通りに進行していたが、成果発表の際、TRIF及びNF-κBの測定においてこれまでと異なった測定方法を指摘されたため、これまでの成果の追試の必要に迫られている。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を1年延長し、これまでの成果の追試を行うこととする。 当初の補助事業計画より1年遅れるものの、「肺移植におけるドナー肺長期保存のためのPPCの確立」が可能であると考える。
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Causes of Carryover |
成果発表の際、TRIF及びNF-κBの測定においてこれまでと異なった測定方法を指摘され、本年度途中より実験計画を見直し、これまでの成果の追試を行うこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
補助事業期間を1年延長し、これまでの成果の追試及びその発表を行うこととし、未使用額はその経費に充てることとする。
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