2013 Fiscal Year Research-status Report
未破裂脳動脈瘤のリスクと心理的ストレスによる生活の質低下の定量化
Project/Area Number |
24592113
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
好本 裕平 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50242061)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 晃之 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60431722)
|
Keywords | 未破裂脳動脈瘤 |
Research Abstract |
患者自身が感じている主観的深刻度の評価を学内倫理委員会の承認を得て実施した。既に未破裂瘤の存在を告知されている52名の患者を対象として、外来にてアンケートを依頼する形として行った。Preference-based quality of lifeを評価する方法としては、standard gamble(SG)法ならびにtime trade-off(TTO)法を用いて行った。主観的QALY lossはSG法においては中央値10.0% (interdquatile range(IQL): 5.0~14.3%)、TTO法においては中央値19.5% (IQL: 9.0~25.0)とSG法よりTTO法で高値となる傾向があり、患者が感じている心理的ストレスは非常に大きなもの出あることが判明した。一方、主観的Quality-adjusted life of years (QALY) lossは動脈瘤の大きさ、すなわち現実のリスクの程度とあまり相関がないことも判明した。 一方、前年度までに作成したマルコフモデルにより、年齢ならびに動脈瘤サイズ依存性の理論的QALY lossの計算を行っている。動脈瘤の自然歴モデルとしては瘤の増大・破裂を瘤の容積(直径の3乗)の関数として扱うことにより、近年の疫学データに合致したモデル作成することが可能であった。算出されたQALY lossは年齢が若くなるほど、また動脈瘤のサイズが大きくなるほど動脈瘤の深刻度が増すことを示していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した数学モデルはほぼ予定通り作成された。未破裂瘤の治療選択は正しい自然経過の理解の上になされるべきものであることはいうまでもないが、患者の年齢や動脈瘤のサイズその他の要因によってその判断が異なってくることも当然である。生命予後のみならず機能予後も組み込むことが可能であるマルコフモデルを用いることには大きな利点があった。このモデルを用い年齢別のサイズ依存性QALY loss 曲線を作成可能であった。また、主観的QALY lossの検討も予定していた数の結果を得ることができた。研究計画全体を通じ概ね順調に進捗していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
それぞれの患者が感じている主観的QALY lossと現実の理論的QALY lossの差を計算することで認識の解離を定量評価する予定である。これまでの検討では特に小型未破裂脳動脈瘤を有する患者において解離が大きく、リスクを過大評価している傾向があることが判明している。逆に大型動脈瘤に起きては非常に高いリスクを正しく受け止めていない傾向もあるようであり、さらに詳細な検討をおこなう予定である。SGおよびTTOは患者自身が感じる身体的・精神的深刻度を数値化して表すものとして臨床医学では頻用されているもので、他の疾患で行われた同様の検討との比較を可能と予想している。
|