2014 Fiscal Year Annual Research Report
未破裂脳動脈瘤のリスクと心理的ストレスによる生活の質低下の定量化
Project/Area Number |
24592113
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
好本 裕平 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50242061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 晃之 群馬大学, 医学部, 助教 (60431722) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 未破裂脳動脈瘤 / 生活の質 / マルコフモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】 近年の前向き研究で小型未破裂脳動脈瘤の破裂率は比較的低いことが示されている。しかしながら、未破裂瘤が存在することを告知された患者はしばしば不安感や鬱症状を呈し生活の質が低下してしまう。 【方法】 本研究では52名の未破裂瘤患者を対象とした。未破裂瘤自然歴を表現したマルコフモデルを作成し、未破裂瘤による生活の質調整年の損失(quality-adjusted life year (QALY) loss)を年齢、動脈瘤サイズごとに算出した。一方、患者自身が感じている主観的QALY lossはstandard gamble (SG)法およびtime trade-off (TTO)法を用い評価した。 【結果】 計算された未破裂瘤による理論的QALY lossは比較的小さく0.4年 (interquartile range [IQR]: 0.1-1.0年)、そして予想される余命の1.9% (IQR:1.1-3.7%)であった。一方、主観的QALY lossの中央値はSG法で10.0% (IQR: 5.0-14.3%)、TTO法では19.5% (IQR: 9.0-25.0)であった。理論的QALY lossは5mm未満の小型瘤患者で5mm以上の大型瘤患者より小さかったが、主観的QALY lossは大型瘤、小型瘤でほぼ同じであった。理論的QALY lossと主観的QALY lossの乖離は5mm以下の小型瘤でより顕著であった。 【結論】 未破裂瘤の告知は有意な心理的負担をもたらし、患者に理論的損失以上の心理的損失をもたらす。小型未破裂瘤は破裂すれば重大な事態をもたらすもののその確率は非常に低く、その告知方法は再考が必要である。
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Research Products
(1 results)