2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
外村 和也 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90436965)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | う蝕原因菌 / 破裂脳動脈瘤 / 血管内皮障害 / マトリックスメタロプロテアーゼ |
Research Abstract |
これまでの研究によりう蝕原因菌が頭蓋内出血をはじめとする血管障害に悪影響をおよぼすことが明らかとなった。また、脳卒中患者を対象とした臨床研究から高病原性う蝕原因菌を保菌する者は破裂脳動脈瘤を発症する率が高く、う蝕原因菌が動脈瘤を発症の引き金となる可能性は高い。しかし脳動脈瘤の動物モデルは現在確立されたものが存在しないことから、本年度はマウスを用い脳動脈瘤モデルの作製に取りかかった。生後8週齢のC57BL/6マウスをイソフルランにて麻酔後,右腎動脈を結紮し、またデオキシコルチコステロン・アセテート(DOCA)を皮下より投与した。腎結紮から3日後、歯科用ドリルを用いピンホールを頭頂に開け、注射針を注入して脳底にエラスターゼを投与した。片腎、DOCAおよびエラスターゼの影響により脳底脳動脈を主とした動脈が脆弱化をきたし、血管が破裂することによって異常行動を呈した後に死亡することを確認した。 また、磁気共鳴装置を用いマウスの脳底動脈の撮像を行い、撮像条件の最適化を行った。結果としてマウスのにおいても脳底動脈の血管撮像を成功させることができた。 現在は破裂脳動脈瘤モデルとしての歩留まりがまだ悪いため、確実に血管が破裂するモデルにしていくための条件設定を行う必要性がある。 さらに脳出血、クモ膜下出血、一過性虚血、脳梗塞、もやもや病および未破裂脳動脈瘤など脳卒中患者の中からどういった疾患に我々が仮説とするう蝕菌が検出されるのかを検討 するために、現在脳卒中患者の唾液を協力病院において採取中である。破裂脳動脈瘤モデルが安定して作製できるようになった際は、未破裂脳動脈瘤の状態のマウスに上記疾患の唾液を投与し、病態との因果関係を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破裂脳動脈瘤モデル作製に取りかかり、約1年でモデル作製に成功した。また、マウスの脳においても脳血管を磁気共鳴装置で撮像することができた。次年度以降は脳卒中患者より分離されたう蝕原因菌を用い、検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
「in vitroの検討」内皮培養細胞および平滑筋細胞を共培養したものを用い、in vivo の実験で得られた結果が、in vitro の実験においても検証できるのか、またその詳細なメカニズムを得ることを目的とする。先にう蝕原因菌と脳出血の因果関係を解明した際には、マトリックスメタロプロテアーゼ 9 の活性化が関与していた。しかしう蝕原因菌由来の破裂動脈瘤の発症機序として、どのような分子が関与しているのかわかっていない。そこで培養細胞にう蝕菌を添加し、産生される分子を網羅的に解析し、先のin vivo の結果と併せて検討し、動脈瘤の悪化に関わる分子を特定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
破裂脳動脈瘤モデル作製に必要な機材および動物購入に充てる。 また、in vitroの実験系を確立するために細胞培養に必要な試薬を購入する。
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