2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷口 理章 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60346195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲村 英二 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30225388)
近藤 威 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50273769)
細田 弘吉 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90403261)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 下垂体 / 動物モデル / 再生 / 骨髄間質細胞 |
Research Abstract |
脳下垂体はホルモン分泌の中枢として個体の生理的活動に重要な役割を果たしているが、その機能は様々な病態で障害される。一定の機能回復を認める例が存在する一方で回復の程度が不十分である例も多く、長期に渡る欠損ホルモンの補充を要し、生命の危険性をも生じうる。下垂体機能の回復過程については不明な点が多く、これを詳細に検討すべく動物モデルを作成した。具体的には前頚部を切開し、周咽頭法で下垂体を露出し、tetradecanoylphorbol acetate(以下TPA)を塗布して炎症を励起し、下垂体機能不全を起こすラットモデルを作成した。術後一ヶ月までの観察を行ったところ、sham OP群では術後4日目以降に血中の副腎皮質刺激ホルモン(以下ACTH)の著明な増加を認めるのに対し、下垂体に炎症を励起したラットでは、ACTHの中等度の増加しか認めず、体重減少と衰弱を認めた。組織学的検討では炎症励起群では下垂体前葉でのACTH陽性細胞の減少、下垂体中間葉から一部前葉にかけてのKi-67陽性細胞の増加を認めた。これはTPAにより下垂体前葉が障害され、その回復のために中間葉から分裂細胞の誘導が生じたものと考えられ、下垂体機能の低下およびその回復を再現するモデルとなる可能性が示唆された。このような中等度の下垂体機能低下を来たし、その回復過程を再現する動物モデルは現存せず、今後の下垂体機能の再生過程を解析するうえで大きな意義を持つものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本モデルの作成には気管切開を要するため、術後の呼吸不全による死亡率が比較的高かった。最近は気管切開口を手術終了時に縫合閉鎖してしまうことで、分泌液の気管内への垂れ込みが減少し、死亡率は激減した。また当初下垂体硬膜を切開してTPAを注入していたが、この方法の場合、下垂体の障害がほぼ全域に渡るため、術後の衰弱が激しく、死亡率が高かった。現在は骨削除で下垂体硬膜を露出するが、これは切開せず、この上にTPAを塗布する方法を考案した。このような改良法を検索する過程で時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
n数を増やしてモデルとしての安定性・再現性を確認する。また観察期間を2ヶ月まで延長し、その後の下垂体機能が回復しうるか、またその程度を検討する。中間葉から前葉で増加が認められるKi-67陽性細胞の細胞種の同定を行い、幹細胞の候補としての評価をする。最終的には骨髄間質細胞移植が下垂体機能不全の経過を修飾しうるかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデル作成に際し、生存率を高める工夫に時間を要し、後半になってホルモン機能や各種組織学的検討に移行することができた。このため初年度の経費はおもに動物に手術するために生じたものとなった。次年度以降は各種下垂体ホルモンや細胞群特有の免疫染色同定のため抗体・蛍光色素などを大幅に追加購入する予定である。経過中の血中ホルモンの測定は外注検査に依存せざるを得ず、相応の検査費用を要する見込みである。年度の後半では骨髄間質細胞の培養系を確立するための薬剤・消耗品を購入する見込みである。
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