2012 Fiscal Year Research-status Report
血流シミュレータによる治療困難な脳動脈瘤に対するバイパス併用術支援技術の確立
Project/Area Number |
24592150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
片岡 大治 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (40359815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 高伸 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (00468852)
中村 匡徳 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (20448046)
斉藤 こずえ 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (80398429)
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
飯原 弘二 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (90270727)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳動脈瘤 / PC-MRI / 数値流体解析 / CFD |
Research Abstract |
平成24年度は、PC-MRIによる脳血流測定法を確立するため、シリコンで作成した血管モデルを用いてファントム実験を行い、PC-MRIの至適撮像条件を確立した。シリコンモデルには、拍動ポンプを用いた体外循環回路を接続し、実際の流量とPC-MRIを用いた計測データを比較した。まず直線部で測定では、計測値の98%が測定誤差±5%以内となり、再現性が確認された。MRI撮像におけるパラメーターを変えて測定を行い、pixel size 0.5mm、スライス厚5mm、VENC150cm/sec、バンド幅64kHz、NEX4の条件では±5%以内の計測精度を得ることができ、これを至適撮像条件に決定した。次に、曲線部では高流量になるほど測定誤差を生じるが、曲線に対して垂直な断面で測定すればその誤差はなくなり、流路に対して15度以内であれば、平均誤差が5%以内になることを明らかにした。次いで、上記のファントム実験から得られた至適撮像条件で、正常健常人の内頸動脈、前大脳動脈、中大脳動脈の血流量を測定し、質量保存則に基づいた流量誤差を検討した。当初は、中大脳動脈の血流量が過小評価されることにより35-45%の流量誤差がみられたが、これは不鮮明な強度画像を基準にした血管壁の同定を行った結果であることが判明したため、DICOMデータのカラー表示ソフトを導入することにより、測定誤差を小さくすることができた。以上の実験により最適化した撮像条件、解析条件を用いて、通常のclipping術やcoiling術では治療困難な脳動脈瘤患者5症例について、PC-MRIによる脳血流測定を行った。手術を行った3症例については、術前後で撮像し、手術による血行動態の変化を明きらかにした。また、手術症例では術後に経頭蓋ドップラーによる脳血流測定も行い、PC-MRIで得られた脳血流と比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PC-MRIの至適撮像条件の決定に想定以上の時間がかかったが、ファントムや正常健常者での検討を十分に行ったため、今後の患者データの取得解析は円滑に進行することが装うされる。手術を行った3症例に関しては、術前のCTA及びMRIのDICOMデータ及びPC-MRIから得られた流量データを用いてCFDを行い、術後の血流測定データと比較検討することにより、バイパス併用手術前後の血流動態予測のシミュレートするための境界条件の設定方法および計算モデルの妥当性について検討していく。計画では、CFDまで初年度で行う予定としていたが、PC-MRIのファントム実験や正常健常人での検討に時間がかかったため、CFDは平成25年度以降に行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床班では、国立循環器病研究センターでflow alteration treatmentを行う大型・血栓化脳動脈瘤の患者を対象として,術前・術後2週間・術後3ヶ月・術後12ヶ月の時点で脳血管血流速度計測のためのPC-MRI・経頭蓋ドップラーを行っていく。また同じ時期に、通常の頭部MRI/MRA・3D-CTA・脳血管撮影の検査を行い術前評価及び術後評価を行う。これまで登録した症例のfollow upを行うとともに、さらに新規の症例を増やしてPC-MRI撮像を行い、術前データを基に行ったCFDと術後データを比較検討することにより、シミュレーターとしての問題点を改善し、精度を高めていく。また、正常健常人及び患者データを蓄積することにより、脳血流データのデータベースを構築していく。 非臨床班では、血管径による測定限界を明らかにするため、2mm、3mmといった細い径のシリコンモデルを作成し、ファントム実験を行い、その結果をin vivoの実験に還元していく。また、平成24年度は定常流での検討を行ったが、同様の検討を拍動流にても行い、測定精度を検証していく。また、患者実形状で壁弾性を有する3次元脳血管モデルを製作したファントム実験も行い、この技術を駆使して,PC-MRIや経頭蓋ドップラーの計測精度を検証し,使用条件の改善および使用限界を明らかにしていく。特に、穿通枝のような細い血管を対象とした場合のモデルの確立を試みる。 シミュレーション班では、MRIなどの医用画像から患者個体別の血管形状モデルを構築し、PC-MRIや経頭蓋ドップラーから得られた患者個体別血流情報を境界条件に組み込む。これらの条件下にて血流シミュレーションを行って術前後の各血管に流れる血流量の変化について調べ、境界条件の設定方法および計算モデルの妥当性について検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数が残額として生じている、翌年度は残額と合わせ、物品費は、各種解析に必要なソフトウェアや流体モデル成形のための高分子材料,化学薬品,アクリル剤などの費用に用いる予定である。旅費は、各研究班の打ち合わせ及び学会発表の費用に充てる予定である。
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