2012 Fiscal Year Research-status Report
悪性グリオーマに対する放射線増感による新たな治療法の開発
Project/Area Number |
24592171
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
三島 一彦 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00282640)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60234077)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | グリオーマ / 放射線治療 / DNA損傷 / 放射線増感 / MRE11-RAD50-NBS1 |
Research Abstract |
悪性神経膠腫(グリオーマ)は予後不良な脳腫瘍で、その治療を困難としている理由として、腫瘍細胞が放射線照射に抵抗性を示すことが挙げられる。従って予後改善には、腫瘍細胞の放射線抵抗性を克服することが必須である。本研究では放射線照射によるDNAの二重鎖切断(DSB)を修復する経路で最初に機能するMRE11-RAD50-NBS1(MRN)を抑制する低分子化合物を用い、照射後のDNA損傷の修復を阻害することで、放射線治療増感効果が得られることを仮説とし、放射線増感を目指した新たなグリオーマの治療法開発を目的とした。本年度は、4つのグリオーマ細胞株、U87, U251, LN229, LN319, LN428にX線(2, 4, 6, 8Gy)を照射し、colony formation assay法を用いて生存率を求めた。その結果、放射線線量依存的に腫瘍細胞生存率は低下した。次に、上記のグリオーマ細胞にMRN低分子阻害剤を0-100μM添加し増殖能をcolony formation assay法により検討した。U251, LN229では25μMで約60-80%の生存率を示し、LN319, LN428では50μMで約60%の生存率を示した。この実験で得られたMRN阻害剤のIC50用量を各グリオーマ細胞に3時間作用させ、放射線を照射しコロニー形成能を検討した。その結果、MRN阻害剤で処理し放射線照射を行なうと、照射単独で治療したものに比べコロニー形成能が有意に抑制され、放射線増感作用が認められることが確認できた。今後は、MRN阻害剤の放射線増感作用のメカニズムを解明するため、腫瘍細胞生存の重要なシグナル分子であるAKTの活性化状態を検討するとともに、細胞周期の解析、細胞死の誘導状況の解析などについて検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、1) 悪性グリオーマ細胞における放射線感受性の検討、2)悪性グリオーマ細胞増殖能に対するMER11-RAD50-NBS1(MRN)阻害剤の及ぼす影響の検討、3)悪性グリオーマ細胞に対するMRN阻害剤の放射線増感作用についての検討、4) Mutant EGFR 発現グリオーマ細胞の放射線感受性、放射線増感の検討、を予定していたが、4)を除き、研究が達成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
悪性グリオーマ細胞に対してMRN阻害剤は放射線増感作用を示すことが確認できた。今後はMRN阻害剤により放射線増感がもたらされる作用機序を解明するため、細胞周期の解析、細胞死の誘導状況の解析とそのシグナル伝達経路の解析などについて検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究を遂行するためには、細胞培地および培養液、プラスチック実験機器、分子生物学関連試薬、抗体関連試薬、データ解析用のコンピューターや解析ソフトなどの購入が必要となり、研究代表者・研究分担者で次年度の研究費をこれらに使用する予定である。
|