2013 Fiscal Year Research-status Report
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24592184
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高岸 憲二 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70154763)
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Keywords | 腱板断裂 / 代償性筋肥大 / IGF-1 / Akt |
Research Abstract |
肩腱板断裂において,手術治療が不能な症例,希望しない症例では残存した腱板構成筋に機能を代償させることを目的としたリハビリ治療が行われることがあるが,残存した腱板構成筋における機能代償の結果としての筋肥大が生じたとする報告はない.本研究の目的は腱板断裂モデルラットの腱板構成筋の形態学的,生化学的変化を調査することで残存腱板構成筋の筋肥大メカニズムがどのように機能しているかを調査することである.我々は全身麻酔下に棘上筋腱断裂を施したモデルラットを作成し,経時的に屠殺,腱板構成筋を採取し,棘上筋,棘下筋について時間経過での重量変化および筋肥大関連遺伝子(IGF-1,Akt)の発現をPCR,ウエスタンブロッティングを行い調査した.棘上筋腱断裂後,棘上筋重量は時間経過と共に減少を続け,本モデルの妥当性が示された.残存した棘下筋については棘上筋腱断裂後早期には一時的に重量の減少を認め,その後は上昇傾向を示すものの,有意な重量の上昇は認めなかった.IGF-1およびその受容体の遺伝子発現は時間経過と共に有意に上昇し,筋肥大における再母内シグナルであるAktのリン酸化(活性化)については術後14日までに一時的な低下を認めたが,その後は上昇傾向を示していた.これらの結果から,棘上筋腱断裂後の棘下筋では,棘上筋の機能代償のために筋肥大関連遺伝子の発現が促進しており,臨床における残存筋に対するリハビリが合目的であることが推測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの結果は「Physiological Reports」に英語論文として掲載された. これまでの研究結果から,棘上筋腱断裂モデルラットでは棘下筋での筋肥大関連遺伝子の発現増加は認めるものの,棘下筋自体の肥大現象は認められなかった.このため,実験の発展型として予定していた棘上筋腱断裂モデルラットに対する運動負荷実験の計画を変更し,棘上筋腱および棘下筋腱の切離による腱板大断裂モデルにおける残存する小円筋の肥大現象の調査実験を開始している.この実験の結果,残存する小円筋では有意な筋肥大を確認することが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
腱板大断裂モデルラットにおける小円筋の肥大現象について,筋肥大関連タンパクの発現解析を行い,筋肥大現象に対する遺伝子・タンパク発現の関与を調査する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究用試薬などの購入を行ったが,年度末に使用困難な端数が生じたため 平成26年度の物品購入費として当てる予定である.
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Research Products
(2 results)