2012 Fiscal Year Research-status Report
腱・腱鞘再建に対するヒアルロン酸の効果の生体内研究
Project/Area Number |
24592242
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
西田 淳 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20198469)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌滝 章央 岩手医科大学, 医学部, 助教 (60360004)
嶋村 正 岩手医科大学, 医学部, 教授 (90118258)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 屈筋腱縫合 / 滑走抵抗 / in vivo study |
Research Abstract |
屈筋腱縫合後の腱・健勝間滑走抵抗の犬によるin vivo studyを実施した。 ビーグル犬12頭を用い、左前肢の第2、第4指を用いて滑走抵抗の測定を行った。深指屈筋腱を中節骨部の指屈筋腱腱鞘内を通る部分で横切後Kessler変法にて縫合し、皮膚縫合後ギプス固定してから2週間後に腱・腱鞘間滑走抵抗を測定した生体内腱縫合群、生体内縫合群と同様に深指屈筋腱を露出し腱ひもを損傷させた後腱は切らずに皮膚縫合しギプス固定2週後に腱・腱鞘間滑走抵抗を測定した生体内腱剥離群、犬を安楽死させた後生体内腱縫合群と同様に深指屈筋腱を横切後Kessler変法にて縫合して腱・腱鞘間滑走抵抗を測定した非生体腱縫合群、犬を安楽死させた後単純に腱・腱鞘間滑走抵抗を測定した正常(control)群の4群に分けて計測し、各群間で対比した。腱・腱鞘間滑走抵抗は腱・腱鞘間の接触角度20°,30°,40°,50°,60°にて計測した。 Control群に比し、他の3群では全ての角度で滑走抵抗値は高値を示した。生体内腱縫合群はcontrol群に比し、全ての角度で滑走抵抗値が有意に高値であった。生体内腱剥離群ではcontrol群に比し、20°,30°,40°で滑走抵抗値が有意に高値であった。非生体腱縫合群はcontrol群に比し、全ての角度で滑走抵抗値が有意に高値であった。非生体腱縫合群は生体内腱剥離群に比し、全ての角度で滑走抵抗値が有意に高値であった。生体内腱縫合群は生体内腱剥離群に比し、全ての角度で滑走抵抗値が有意に高値であった。非生体腱縫合群と生体内腱縫合群間には有意差がなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた腱移植の実験実施の前に、腱縫合の実験を行ったが、種々の因子が複雑に影響して実施が困難な可能性があると思われたin vivo studyが実施できて、非常に有意義であったと評価している。今後多様なin vivo studyを試みることができる可能性が確認された。 研究期間が4年間であることを鑑みて毎年実験が完全に目標を達成していくと仮定すると、各年度25%ずつ進捗していくことになる。今年度は腱移植のかわりに腱縫合の実験となったのでその分をマイナス3割と評価し、困難な可能性があると思われたin vivo studyが実施できたのでその分をプラス1割と評価して、今年度は課題の8割程目標を達成したと考えている。すなわち4年間全体を100%とすれば、今年度はその約20%程度を達成したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の研究計画に沿って実験を推進していく方針である。研究費も当初の予算に沿って使用いていく方針である。 平成25年度は犬腱鞘再建in vivoモデルにおける腱・腱鞘間滑走抵抗の評価、および形態学的評価を実施する予定である。犬の右前肢6肢を用いる(移植腱モデル各3頭)。第2、3趾のannular pulley(ヒトA2 pulleyに相当)を摘出した後、Bunnell法による腱鞘再建モデルを、浅指屈筋腱 (intrasynovial graft)、長腓骨筋腱 (extrasynovial graft)を用いて作成する。モデル作製8週後に実験動物を安楽死させ、腱・腱鞘間滑走抵抗を測定する。 また滑走抵抗を評価した後、腱・腱鞘組織の一部を用いて、また滑走抵抗を評価した後、腱・腱鞘組織の一部を15%緩衝ホルマリン液に4日間浸漬固定後、アルコール系列で脱水し、パラフィン固定する。厚さ3μmに薄切し、hematoxylin-eosin 染色、phosphotungstic acid hematoxylin (PTAH)染色、periodic acid Shiff 染色、methylgreen pyronin 染色、Giemsa 染色を行い、組織学的所見を評価する。特に、滑膜細胞の有無、滑膜細胞の局在性、腱細胞の壊死の有無について評価を行う。また滑膜細胞が認められた場合は、標本の一部を2%グルタールアルデヒド固定後オスミウム固定を加えてからエポン包埋を行った後、厚さ2μmに薄切し、電子顕微鏡的検索を行う。電顕的には、滑膜細胞の亜型分類を行い、各滑膜細胞の局在性を評価する。これらの形態学的評価結果を各腱群毎に対比し、違いを評価する。平成24年度に予定していて腱縫合術に変更実施した腱移植の実験も時間が許せば実施したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表費用として、学会出張旅費、論文出版費、英文校正費として支出予定である。
|