2013 Fiscal Year Research-status Report
ポルフィリン化合物の放射線増感効果を利用した骨肉腫治療法の開発
Project/Area Number |
24592246
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
吉田 行弘 日本大学, 医学部, 講師 (20201022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
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Keywords | 放射線増感剤 / 光増感剤 / 骨肉腫 / ポルフィリン |
Research Abstract |
骨肉腫は予後不良の悪性腫瘍であり、放射線感受性が低く化学療法にも限界があることから、新規の有効な治療法が切望されている。最近我々は、光化学療法に用いられるポルフィリン化合物HPPH の誘導体の1つに放射線増感効果があることを発見した。HPPH 誘導体投与後に放射線を当てた細胞株では、放射線のみ、もしくは化合物のみの群と比べて顕著に細胞死が誘導されることが、乳癌、膀胱癌、さらに骨肉腫細胞株一種で確認できた。本研究では、HPPH 誘導体の放射線増感剤としての汎用性、作用機序を調べるため、骨肉腫細胞株を用いたin vitro, in vivoでの解析を計画した。 MG63 以外の骨肉腫細胞株G292, HOS, SAOS2 に対する717の放射線増感効果を培養系において調べたところ、MG63 の場合と同様、0.5ug/ml 以上の濃度で、増感効果が観察された。しかしながら、717が枯渇したため再度合成を行ったところ、放射線増感効果が観察されなくなった。合成は複数回行ったが放射線増感効果のあるものが得られなかった。照射装置にも問題がないことから、類似の新規ポルフィリン化合物、ルテニウム錯体等を日大理工学部と共同で合成し、MG63 細胞を用いてスクリーニングを行ってきたが、現時点では放射線増感効果があるものが得られていない。一方通常の増感剤よりも長波長側の光を吸収する化合物が得られ、それらは強い光増感効果を示し、細胞を死滅させる活性があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
717以外の新規のポルフィリン化合物、ルテニウム錯体についてもスクリーニングを行ったが現時点では有効は化合物が得られておらず、達成度は遅れている。一方、放射線増感効果は無いものの、通常の増感剤より長波長の光に対して増感効果を示し、強い細胞障害性を持つ化合物が複数得られた。長波長側の光は生体内分子に吸収されにくく、到達深度が高いことから、これらの増感剤は新規の癌治療ツールとして期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
新規のポルフィリン化合物、ルテニウム錯体について順次スクリーニングし、培養系において放射線増感効果が確認できたものに関しては、当初の計画書通り、有効濃度の検討、化合物の細胞内局在、細胞死のメカニズムの解明実験、動物皮下腫瘍モデルを用いたin vivo での効果の検討を行う。また、長波長側の光に対する増感効果を持つ物質も、悪性腫瘍の治療ツールとして有効であることから、平行して解析を進めていく。
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