2013 Fiscal Year Research-status Report
ストレス惹起インスリン抵抗性に伴う血管内皮障害への硫化水素による治療戦略
Project/Area Number |
24592302
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉田 道子 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (70305019)
|
Keywords | 硫化水素 / ストレス / インスリン抵抗性 / 血管内皮 |
Research Abstract |
第3のガスメディエーターとして多様な生理活性を有するH2S(硫化水素)の内皮由来血管弛緩作用、抗炎症作用、抗サイトカイン作用に注目が集まっている。インスリン抵抗性に伴う血管内皮障害とH2Sの関与についての研究は未だない。しかしながらストレス(熱傷、敗血症)モデル動物におけるアウトカムを改善したとする報告、糖尿病、インスリン抵抗性における関与が報告されている。本研究ではH2Sがストレス惹起インスリン抵抗性に伴う血管内皮障害に対し、治療へとつながる可能性の有無について評価し、さらにはそのメカニズムを明らかにすることである。 平成25年度においてはストレスモデル動物へのH2S投与による血管内皮細胞機能への影響を検討した。ストレス(侵襲)モデルとして熱傷ラットを用いた。雄性SDラットをペントバルビタールで麻酔し、3度熱傷を体表面積55%、Sham群では37℃の温水につけた。 熱傷受傷直後よりL-システイン1 mg/kg BWを経口摂取させ、対照には生理食塩水を投与した。 3日目に屠殺し、上下行大動脈を採取、一部は血管内皮細胞を単離、蛋白を抽出し、Western blot法に用いた。大動脈より抽出、定量された4群(Sham+vehicle、Sham+H2S、Burn+vehicle、Burn+H2S)のタンパクサンプルを用い、特異的抗体(Akt,p-Akt,Ras およびCSE)を用いたWestern blot法にて定量を行った。また一部は摘出後速やかにOCTコンパウンンド内で液体窒素にて冷却し凍結切片を作成し、スーパーオキサイド産生、Nitrotyrosineの発現を観察した(平成24年度実施計画であったが、平成25年度も継続して実施)。摘出した下行大動脈をクレブス・リンゲル液に保存、リング標本を作製し、オーガンバスに固定し等尺性張力を測定した。フェニレフリンの用量依存反応反応、アセチルコリンによる内皮依存性血管弛緩反応用量依存反応について検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度計画したシグナルトランスダクション解析に抗体、試薬の変更など費やした。また下行大動脈リング標本による等尺性張力測定が安定せず、条件の調整に時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度については新鮮単離血管内皮細胞を作製し、H2S+およびH2S-環境下で500 μM GSNO(NOドナー)にて刺激し、5分後細胞を回収し蛋白を抽出する。特異的抗体を用いたWestern blot法にて発現蛋白を定量、解析し、ストレスにより血管内皮細胞で発現する蛋白がH2S存在下ではどのように変化するかを確認し、シグナルの関与について検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては試薬は既存のもので使用できた。実験動物は譲り受けたものを使用した。繰越金は平成25年度に購入を見送ったオーガンバス、および実体顕微鏡など機器購入にあてる予定である。 動物購入、試薬(抗体等)、オーガンバス等購入に使用予定である。
|