2015 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンE誘導体ETS-GSを用いた脊髄損傷に対する新規治療法の開発
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24592303
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
内納 智子 大分大学, 医学部, 医員 (90404368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 聡 大分大学, 医学部, 講師 (50527661) [Withdrawn]
小山 淑正 大分大学, 医学部, 助教 (40468012)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | spnal cord injury / vitamin E / ETS-GS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に引き続きラット脊髄損傷モデルにおける新規ビタミンE化合物ETS-GSの脊髄保護効果のメカニズムを詳細に検討することを目的として実験を行った。まず、昨年度Bio-Plexを用いて脊髄損傷に関連すると報告されているシグナル経路をsham群(脊髄損傷なし)、control群(脊髄損傷あり、ETS-GS投与なし)、ETS-GS群(脊髄損傷あり、ETS-GS投与あり)において検討した結果、ETS-GS投与によりPI3K-Akt-mTOR経路が変化していたためウエスタンブロット法による検証を行うとともに、オートファジーの関与についても検討した。受傷後24時間ではETS-GS投与によるPI3Kの有意な変化は認められなかったが、Akt, mTORはcontrol群で有意な活性低下が認められ、ETS-GS投与により有意な増加が認められた。mTORはmTOR複合体1(mTORC1)、2(mTORC2)という2種類の複合体を形成することが知られている。mTORC1の下流にあるS6タンパクをウエスタンブロット法で発現を調べたところ、ETS-GS群ではcontrol群と比較して有意な増加が認められており、オートファジーを抑制するmTOR1経路の活性化が示唆された。ETS-GS群ではPI3Kの変化を伴わずAktの有意な活性化が認められるため、mTORC2経路の活性化も同時におこっていることが考えられ、caspase-3の有意な発現低下が示すようにAkt活性化がアポトーシスの抑制にも関与していることが考えられた。今までの実験の結果からETS-GSが脊髄損傷による障害を軽減するメカニズムとして、抗酸化、抗炎症作用とともにmTORを介したアポトーシス、オートファジーの抑制が関与している可能性が示唆された。
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