2012 Fiscal Year Research-status Report
免疫監視細胞マクロファージを用いた急性炎症応答の評価
Project/Area Number |
24592323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
川前 金幸 山形大学, 医学部, 教授 (70254026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 薫 山形大学, 医学部, 教授 (30234975)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症応答 / ストレス / 細胞内情報伝達 / 血球細胞 / マクロファージ / 単球 / T細胞 / PCR |
Research Abstract |
外科的手術、種々の要因による人工呼吸管理、および重症肺炎等において集中治療が選択される場合、その過程における生体炎症の程度が病態の予後に大きな影響を与えることが少なくない。現在の周術期モニターシステムは、薬物の投与時間と連動して血圧や血ガス等の変動を経時的にモニタリングすることを可能にしているが、惹起される炎症応答は個体により大きく異なるので、生体細胞を用いて炎症等を定量的に解析することが出来れば、生体急性炎症メカニズムの解明ひいては臨床応用に非常に有用と思われる。本研究では、生体急性炎症のモニター指標として、生体免疫機能の最前線に位置し、生体炎症応答を監視するマクロファージを含めた血球細胞に着目し、炎症応答の評価法を検討する。これまでの研究により、申請者らがこれまで解析してきた細胞内二次メッセンジャー代謝酵素ジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)は生体ストレス応答に関与する可能性が示唆されているので、この分子ファミリーの動態を指標とした生体急性炎症のモニタリングを行う。 本年度はまず、ヒト正常血球細胞におけるDGKファミリーの発現を検討した。正常ヒト血液サンプルから、好中球、単球、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、B細胞を分離し、RT-PCR法を用いて、DGKファミリー分子の発現を解析した。その結果、DGKαはCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞に豊富な発現が認められた。DGKγは単球に、またDGKζはB細胞以外の細胞での発現が観察された。一方、DGKεも大部分の細胞に発現が認められたが、とくにT細胞系における発現が顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、生体急性炎症のモニター指標として、生体免疫機能の最前線に位置し、生体炎症応答を監視するマクロファージに着目し、炎症応答の評価法を検討することを全体の目的とする。この目的を達成するために、本年度は血液細胞の分離とmRNAの抽出、RT-PCR法によるDGKファミリーの発現解析を行った。マクロファージは、正常血液の単球が炎症反応に応答して分化したものであるので、まず単球およびその他の血液細胞の解析が必要であると考えた。今年度は、正常細胞を用いた基礎実験系を整えることができたので、おおむね研究計画は順調に進行していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた研究データを基に、今後は炎症応答におけるDGKファミリーの発現変化を解析する。とくに、グラム陰性菌に含まれ生体炎症を惹起するリポポリサッカリド(LPS)を用いて、血球細胞および各々の血球細胞の培養株における経時的な変化を解析する。さらに個体レベルの実験として、ラット腹腔内にLPSを投与し、全身炎症モデルを作製する。この個体モデルを用いて、血液、肺胞洗浄液、腹腔からマクロファージを抽出し、DGKファミリーの発現変化を比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] DGKζ is involved in LPS-activated phagocytosis through IQGAP1/Rac1 pathway2012
Author(s)
Okada M, Hozumi Y, Iwazaki K, Misaki K, Yanagida M, Araki Y, Watanabe T, Yagisawa H, Topham MK, Kaibuchi K, Goto K.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 420
Pages: 479-484
DOI
Peer Reviewed
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