2015 Fiscal Year Research-status Report
オキサリプラチンによる難治性神経障害性疼痛の機序解明および治療法の開発
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24592358
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
下山 恵美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10206253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 直人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40196572)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学療法惹起性神経障害 / オキサリプラチン / オレキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
オレキシンは視床下部で産生される神経ペプチドで、鎮痛効果があることが示されている。本研究で作成したオキサリプラチン慢性神経障害性疼痛モデルマウスにおける機械的アロディニアに対してオレキシンAの効果を検討し、オレキシン受容体アゴニストの化学療法惹起性神経障害性疼痛の治療薬としての可能性を探った。オレキシンAの脳室内投与は、tail flick testにおいて疼痛閾値に影響しない低用量(0.1 nmol)で、完全に機械的アロディニアをブロックした。より高用量(1 nmol)のオレキシンAはtail flick testにおいて疼痛閾値を上昇させた。オレキシンA投与による明らかな行動上の副作用はみられなかった。このオレキシンAの抗アロディニア効果はオレキシン1受容体アンタゴニストにより拮抗され、オレキシン2受容体アンタゴニストでは拮抗されなかった。このことより、オレキシンAの鎮痛効果はオレキシン1受容体を介することが示された。以上から、オレキシン1受容体アゴニストの化学療法惹起性神経障害性疼痛の治療薬としての可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
順調に進展していたが、最終年度に所属を変更したため、新しい研究実施場所の整備などのため、実験が一時中断した。現在、実験を再開し、ほぼ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
化学療法惹起性神経障害の予防法の開発に向けて、実験を推進しており、ミトコンドリアのエネルギー状態を改善する薬物(SSー20)を用いた実験を行っている。SS-20は2013年度に報告したSS-31と異なり、抗酸化作用がないため、抗がん剤の効果に影響がないため、臨床的に有用である可能性が考えられる。
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Causes of Carryover |
該当年度に研究代表者が所属を変更したため、新しい研究実施場所の整備などが必要であり、実験が一時中断した。このことにより、研究費の使用が予定より遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記により研究は計画よりやや遅れたが、平成28年度に繰り越された部分に使用する予定である。
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