2012 Fiscal Year Research-status Report
頚動脈ドップラーを用いた無侵襲連続動脈圧モニター装置の開発
Project/Area Number |
24592367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
藤田 喜久 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10144263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 無侵襲動脈圧モニター / 脈波伝搬時間 / 超音波 / ドップラー |
Research Abstract |
本研究は、血管内圧がその脈波伝搬時間(PTT)の平方根に逆比例することの原理を用いて、心電図信号と前頚部においた頸動脈超音波ドップラープローブからの頸動脈血流信号を処理することでPTTを連続的に測定して、無侵襲連続動脈圧モニターの装置を開発することを目的としている。これが実用化することで麻酔あるいは集中治療中の患者の無侵襲動脈圧モニターとして広く普及することが予測される。 平成24年度は川崎医科大学附属病院6F IC・CCUに入室して、治療を受けている患者23名を対象として研究を行った。超音波ドップラープローブ波形、心電図波形、橈骨動脈圧波形を同時にデータレコーダに記録するとともにA/Dコンバータを介してPCにとりこみ、独自に開発したPCプログラムを用いて心電図R波を基準として脈波伝搬時間(PTT:msec)を連続測定した。そして橈骨動脈より得られた収縮期動脈圧(Psys: mmHg)をゴールドスタンダードとしてその関係を検討した。 その結果、1時間以上、連続測定できた患者8人のデータからPsys=701728/(PTT*PTT)+57.8の回帰式が得られた(ただし、PTTの単位はm秒)。 上の式より、ある一点でのPsysとPTTの値で較正することによりPTTの値からPsysを計測できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間にわたる本研究計画においては、初年度に約100例の患者を対象として、脈波伝搬速度を検討する予定であった。しかし超音波ドップラーによる頚動脈波のPCへの取得が予想したより困難であり、23名において連続測定を行えた。またそのうち十分な評価が可能であったのは8名のみであった。このため、10歳ごとの各年齢別の動脈圧と脈波伝搬時間との回帰式を求めることが不可能となり、患者全体で回帰式をもとめた。この式から1点で、実測した動脈圧(マンシェット法などによる)で較正することで脈波伝搬時間による連続的血圧モニターは可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に予定しているように、平成25年度はICUにて治療中の患者を対象として、前向きに、昨年度の研究で得られた予測式を用いて、心電図と超音波ドップラー信号より得られる脈波伝搬時間(PTT)から計算される収縮期圧とトランスデューサより実測された橈骨動脈圧との関係を検討する。これにより超音波ドップラー装置を用いた無侵襲血圧装置の妥当性を検討する予定である。 また超音波ドランスデューサプローブの改良とプローブ装着方法を工夫することで、頚動脈血流波形(ドップラー信号)のPCへの取得をより容易、簡便なものにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は超音波プローブの破損が見込みより少なく、また100例の患者に対して計測を行うことができなかったためにデータ収録用テープの購入が少なく済んだために、支出額が769140円 少なくなった。平成25年度は、本来の研究計画での予定に加えて、下に示す2.について約70万円を見込んでいる。 1. 超音波プローブの購入とプローブの改良 2. 脈波伝搬時間より血圧を計測するためのPCプログラムの改訂 3. 成果発表の旅費 (アメリカ麻酔科学会)
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Research Products
(1 results)