2013 Fiscal Year Research-status Report
腎癌の治療反応特異的な分子シグナル経路の同定とその臨床応用研究
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24592400
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00260787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井川 昇 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (00237207)
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10217995)
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Keywords | 腎癌 / 遺伝子発現 / 予後 / 分子マーカー |
Research Abstract |
DNAマイクロアレイの網羅的発現情報をもとに、腎癌病理組織型別また予後別の遺伝子発現変動の状態を調べた。その結果、サイトカイン治療時代だけではなく最近の分子標的治療を施行した場合でも腎癌の有意な予後因子となりうる高Ca血症の主要原因遺伝子であるPTHLH遺伝子発現に着目して解析を進めた。まず腎癌多数検体例(淡明細胞型:542例、非淡明細胞型:82例)よりRNAを抽出、ここからcDNAを調整した。引き続きリアルタイムPCR法によりPTHLHの発現量を測定した。その結果、腎癌組織型のうちの約80%を占める淡明細胞型の中に腫瘍PTHLHが特に高発現しているものが含まれており、それらの症例でのみ高Ca血症が起きていること、PTHLH高発現は単変量、多変量解析で予後不良因子であること、一方非淡明細胞型の乳頭状、嫌色素型、オンコサイトーマ、血管筋脂肪腫、集合管癌等ではいずれの症例でもPTHLH発現は明らかに低値であることが分かった。引き続き腎摘除術を行ったstage IVの進行性淡明細胞腎癌113例の群について、PTHLH発現と予後との関係をさらに調べた。その結果、これまで報告されているように、LDH、腫瘍grade、好中球等と共に、PTHLH発現がoverall survival(OS)の有意な予後因子であることが明らかとなった。またPTHLH発現はサイトカイン治療症例群、分子標的治療症例群に分けたサブグループ解析でも、予後因子となっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAマイクロアレイを用いた網羅的発現情報にもとづく粗選別の解析候補遺伝子の数、粗選別したマーカー候補と考えられる遺伝子の腎癌多検体でのリアルタイムPCRによる発現検証解析、また治療患者の腫瘍検体の当該年度での集積数はおおむね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続いて、粗選別された候補遺伝子のうち上位に位置し、また遺伝子アノテーションからも遺伝子マーカーの可能性が高いと想定される遺伝子から、腎癌多検体でのその発現状態をリアルタイムPCRで逐一確認、検証を進める。得られた遺伝子発現情報と臨床病理因子の情報、薬物治療反応性、予後情報との関連解析を進める。患者組織検体の集積も引き続き継続し、解析精度を上げていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画予定より効率的に実験を進めることができ、試薬や消耗品代を節約できたため。 当初の計画に従い、候補遺伝子のリアルタイムPCR等による発現解析、患者組織検体の新たな集積、それらからのRNA/cDNA の調整等に使用する。また研究成果は適時、学会や研究会等で報告を行っていく予定である。
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