2014 Fiscal Year Annual Research Report
多発性嚢胞腎の細胞マトリックス接着応答とエピジェネテイクス修飾による治療法の研究
Project/Area Number |
24592450
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石橋 道男 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40107032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東原 英二 杏林大学, 医学部, 教授 (00092312)
長尾 静子 藤田保健衛生大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (20183527)
千原 良友 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40405395)
小島 直人 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (90420413)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多発性嚢胞腎 / PCKラット / 細胞マトリックス / ベンゾイソフラノン誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、多発性嚢胞腎の動物モデルPCKラットの嚢胞化進展にベンゾイソフラノン誘導体化合物(石橋、小島)を投与すると、髄質に発生する嚢胞サイズの縮小傾向、乳頭起始部と皮質間を走る髄質嚢胞間の索組織は太く、また、乳頭部起始部の集合管に並走する毛細血管内腔に赤血球凝集塊の付着した現象、血液泥化(sludging of blood)の現象が治療群で軽減していた(長尾、石橋)。毛細血管をふくめた血管新生に関わる遺伝子のエピジェネテイクス解析をおこなった。HIF-1、Galectin-3、DNMT1遺伝子のほかに、内在性レトロウイルス(Endogenous retrovirus)遺伝子の構成遺伝子であるGag関連遺伝子のうちMlana、RTL1、の2遺伝子、Gypsy integrase-1 (Gin1)遺伝子を対象とした。実験群のPCKラット凍結保存腎組織のmRNA発現とDNAメチル化レベルを測定した(千原、東原、石橋)。結果は、対照群と比較して治療群において、mRNA レベルの発現が増加したのはMlanaで、減少したのはRTL1、Gypsy integrase-1 (Gin1)、HIF-1,Galectin-3であった。MlanaのDNAメチル化レベルは低下していた。一方、mRNAレベルが減少したRTL1、Gypsy integrase-1 (Gin1)、HIF-1,Galectin-3のDNAメチル化レベルに増加したものはなくDNA脱メチル化などの関与が推察された。以上より、細胞マトリックスとしての毛細血管の構造と機能が温存されネフロンが維持され腎皮質部の小嚢胞化形成が抑制され、その機序として血管新生に関わる遺伝子のエピジェネティクス機構の関与が示唆された。
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