2012 Fiscal Year Research-status Report
絨毛細胞による母体らせん動脈の浸潤機構の解明ー母体血小板に着目してー
Project/Area Number |
24592470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 幸保 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00508236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 浩 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30252456)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 血小板 / 血管リモデリング / 絨毛細胞 / 妊娠高血圧症候群 / 胎児発育不全 |
Research Abstract |
ヒト胎盤において、絨毛の一部は母体面と接着する。絨毛の母体面付着部ではtrophoblastの幹細胞であるcytotrophoblast (CTB) は重層化し、cell columnを形成する。Cell column内でCTBは浸潤能をもつextravillous trophoblast(EVT)へと分化し、母体脱落膜 (interstitial trophoblast (iEVT))およびらせん動脈 (endovascular trophoblast (eEVT)) へと浸潤していく。eEVTの浸潤によりらせん動脈は再構築(リモデリング)され、血管径が増大し、種々の血管作動物質への反応性を失う。広範ならせん動脈リモデリングは霊長類に特異的な現象であり、正常な胎児発育に必要な絨毛間腔への血流確保に不可欠とされる。我々の研究の目的は、その分子機構を明らかにすることである。 平成21-23年度基盤研究(C)「母体血小板と絨毛細胞の相互作用:PIH、IUGRの病因解明をめざして」の中で、CD9、TGFβ受容体、インテグリンα5、MCAMなどの細胞表面分子がeEVTで高発現していることを明らかにした。今回はCD9に着目し、EVTを不死化したSwan71細胞を用いて、その機能解析を行った。まず、Swan71細胞にCD9が発現していることを確認した。次に、レンチウイルスを用いてCD9特異的shRNAをSwan71細胞に導入することでSwan71細胞におけるCD9発現を約50%減弱させることに成功した。さらに、マトリゲル浸潤実験により、CD9発現を減弱させたSwan71細胞の浸潤が増強することを明らかとした。細胞増殖実験では、CD9発現減弱がSwan71細胞の増殖に影響を与えなかったことより、Swan71細胞においてCD9が浸潤抑制に働いている可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レンチウイルスによるshRNA導入の条件設定が難しく、満足のいくノックダウン効率を達成するのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究計画に記載しているように、eEVTによる母体らせん動脈浸潤のin vitroモデルを確立することが重要であると考えている。予備的な実験で、Swan71細胞を色素標識することで、HUVEC(臍帯静脈内皮細胞)と共培養したSwan71細胞の動態を別個に観察することに成功している。レンチウイルスを用いたshRNA導入によりCD9発現が減弱したSwan71細胞とHUVECとを共培養し、それぞれの細胞動態にどのような変化がみられるかを評価する。また、不死化していない初代培養の分離EVTについてもレンチウイルスを用いた方法でCD9の発現を減弱させ、マトリゲル浸潤実験、細胞増殖実験、HUVEC共培養実験などによりCD9の機能を解析する。さらに、上述の他のeEVTマーカー(TGFβ受容体、インテグリンα5、MCAMなど)についても同様の手順で機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、レンチウイルスを用いた遺伝子ノックダウンに用いる試薬に研究費を使用したいと考えている。
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Research Products
(3 results)