2013 Fiscal Year Research-status Report
IUGRモデル動物におけるエピジェネティクス機構による神経幹細胞の分化制御の解明
Project/Area Number |
24592495
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
桂木 真司 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (50521283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋武 義治 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (20508791)
細田 洋司 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40359807)
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Keywords | 周産期 |
Research Abstract |
エピジェネティクスな遺伝子制御は多彩な生命現象の分子基盤を担っており、細胞の分化・脱分化、増殖、老化等の細胞の質的変化に加え、環境因子への応答とその記憶としての役割にも深く関わっている。低出生体重児では学童期の学習障害や行動障害の頻度が高いことが従来から指摘されているが、胎児期の栄養環境とその後の精神発達遅滞・障害の関連については不明な点が多い。一方、ヒストン脱アセチル化酵素SIRT1は、中枢性代謝制御に重要な役割を果たしているほか、神経幹細胞の分化にも関与していることが明らかになっている。本研究は胎児期の低栄養環境と精神発達遅延・障害の関連、及びその機序を明らかにし、予 防法や治療法の確立につなげることを目的とする。 本年度は、昨年度確立した子宮内発育遅延(IUGR)モデルマウスを用いて、出生後の身体運動機能の評価、Open-field testやNovel object recognition test(新奇物体認識試験)等による行動学習評価、中枢神経系の免疫組織学的解析等を行った。IUGR群はコントロール群と比較して開眼が約1日遅延し、離乳後通常飼料で飼育する限りにおいてIUGR群は体重がCatch-upすることなく低体重のままであった。IUGR群において、運動協調発達の遅延、不安行動の増加、即時記憶または空間学習における記憶障害を示す結果が得られた。一方、IUGR群において海馬での神経幹細胞や神経細胞新生、シナプス密度等に明らかな変化は認められなかった。現在、IUGRマウスにおける学習記憶障害に関わる病態機構を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度始めより、昨年度の研究計画であった(2)IUGRモデルマウスにおける神経幹細胞数,自己複製能,多分化能等の解析を行ったが、有意な変化は認められなかった。本年度の当初の研究計画は(3)IUGRモデルマウスにおいて、脳SIRT1活性の神経幹細胞系譜制御化への影響を解析、(4)出生後IUGRモデルマウスにおける脳SIRT1による神経幹細胞のエピゲノム制御であったが、(2)の結果から、これらを段階的に行うことは困難と判断した。来年度の研究計画である(5)IUGRモデルマウスの行動学的評価を先行し、発達期の運動協調機能遅延、学習記憶障害等の新たな知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のIUGRマウスは胎児期新生児期低栄養環境の病態モデルであり、行動学的評価で得られた学習記憶障害との関連を解明するため、主に海馬や大脳基底核における分子基盤の変化を、エピジェネティクス制御を中心に分子生物学的に検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は前年度からの繰り越し分と合わせて研究費を使用した。試薬購入後に特価価格ということが判明した為、若干未使用分が生じた。 平成26年度は、前年度を合わせて、研究計画・方針に沿って研究費を使用予定である。
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