2012 Fiscal Year Research-status Report
婦人科悪性腫瘍に対する治療が及ぼす心血管リスクのサーベイランスと予防法確立
Project/Area Number |
24592535
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
田辺 晃子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70454543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正美 大阪医科大学, 医学部, 助教 (00551748)
大道 正英 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10283764)
田中 良道 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10625502)
金村 昌徳 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40298782)
山下 能毅 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50268207)
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90278531)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗癌剤 / 血管内皮機能 / フィブラート / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌に対する集学的治療の進歩に伴い癌患者の長期生存が期待されるようになったが、一方で、白金製剤を含む抗癌剤治療を受けた精巣癌の癌克服男性において、循環器疾患の罹患率が高いことが多数報告されている。よって、同様の薬剤を用いる婦人科悪性腫瘍患者においても予想される心血管系の疾患を、抗癌治療早期からスクリーニングし、追跡する意義を本研究で臨床的に証明することを第一の目的としている。さらに、血管内皮細胞を用いたin vitro実験を行ない、基礎的検討で裏付けされた予防法を確立するのが本研究の第二の目的である。 婦人科悪性腫瘍に対する抗癌剤治療としてPaclitaxelとCarboplatinによるTC療法が選択されることが多いが、TC療法で血管内皮傷害がおき、将来の血管硬化につながる可能性があることを以前に報告してきた(Climacteric 14; 31-40, 2011)。 そこでは、TC療法を受けた患者のなかに高中性脂肪血症を呈する場合が多く、これが血管硬化の原因の一つではないかということを考察していた。そこでこの知見を踏まえ、TC療法後に中性脂肪が上昇し、治療域に達した症例を対象にベザフィブラートを内服させ、血管内皮傷害の予防効果を確かめた。興味深いことにTC療法を受けた患者のおよそ2/3の割合で高中性脂肪血症となった。結果としては、ベザフィブラート群ではTC療法の直後に確認されるFMDの優位な低下が認められなかった。 HUVECSを用いた基礎的検討で、TC療法はAKT-eNOSカスケードを抑制しNO産生を抑制するが、ベザフィブラートを前添加することで抑制が解除された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
臨床的にも症例が順調に集まっていることと、in vitroのデータも集まりつつある。 また、第64回日本産科婦人科学会各術集会、第27回日本女性医学学会学術集会で報告の機会をいただいた上に、日本女性医学学会学術集会では優秀最優秀演題賞を受賞することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
有経女性、閉経後女性に対する悪性腫瘍治療の影響についてラットを用いて検討するために、有経女性の若年モデルとして13週令の、閉経後モデルとして73週令のWister系雌ラットを用いる。それぞれ開腹のみで終了するSham群と、開腹しBSOを行なうOvx群に分け、3% isofluraneによる麻酔下で行なう。術後1週間目にコントロールとしてSaline:生理的食塩水の腹腔内投与、薬剤性腎障害モデルとしてCis:cisplatin 20 mg/kgの腹腔内投与、フィブラート投与群としてCis + fibrate:bezafibrate (Sigma) 0.1%混合飼料を1週間与えた後cisplatin 20 mg/kg腹腔内投与、以上12グループ、各4匹ずつ準備する。腹腔内投与後は採尿ケージに収容し、フィブラート投与群以外は通常飼料を、フィブラート群はbezafibrate 0.1%混合飼料を与える。採取された尿は一日量を計測し、液体窒素で解析時まで保管しておく。4日後、isofluraneで安楽死ののち採血、腎摘出、大動脈摘出を行ない以後の実験に使用する。 摘出した腎は、片側をホルマリン固定しのちの組織学的検討へ、片側を液体窒素で凍結しのちのタンパク抽出、mRNA抽出を行ないのちの分子生物学的検討へ用いる。Cisplatinによる腎障害とフィブラートによる改善効果についての組織学的検討は、HE-PAS染色を行ない、腎障害の程度をa) 尿細管壊死 b) 糸球体の退縮に伴うボーマン嚢スペースの拡張 c) 尿細管刷子縁の消失について0点から2点の3段階で評価する。また、アポトーシスの程度をTUNEL染色で評価する。凍結標本切片からオイルレッド-O染色を行ない、中性脂肪、遊離脂肪酸の沈着面積をNicon Eclilpse顕微鏡でデジタル解析し定量する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラットを用いた、BSO+抗癌剤治療が及ぼす心血管・腎への影響とフィブラートによるリスク減少メカニズムの検討を行うため、有経女性の若年モデルとして13週令の、閉経後モデルとして73週令のWister系雌ラットを購入する予定である。それぞれ開腹のみで終了するSham群と、開腹しBSOを行なうOvx群に分け、3% isofluraneによる麻酔下で行なう。術後1週間目にコントロールとしてSaline:生理的食塩水の腹腔内投与、薬剤性腎障害モデルとしてCis:cisplatin 20 mg/kgの腹腔内投与、フィブラート投与群としてCis + fibrate:bezafibrate (Sigma) 0.1%混合飼料を1週間与えた後cisplatin 20 mg/kg腹腔内投与するため、以上の薬剤を購入する予定である。フィブラート投与群以外は通常飼料を、フィブラート群はbezafibrate 0.1%混合飼料を与える。isofluraneで安楽死ののち①採血 ②腎摘出 ③大動脈摘出を行ない以後の実験に使用する。 血液は直ちに遠心分離し、血清のみを液体窒素で瞬間冷凍ののち解析まで保存する。グルコース、遊離脂肪酸、中性脂肪は蛍光法定量キット(BioAssay Systems, USA)を用いて定量する。クレアチニン、尿素窒素、インスリン、HbA1c、血管内皮障害マーカー(VCAM-1, ICAM-1, PTX3)、心筋マーカー(BNP)はELISA法で定量し、抗癌剤による影響と、フィブラートによる改善効果を検討する。よって、以上の測定キットなどを購入する予定である。
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Research Products
(3 results)