2013 Fiscal Year Research-status Report
急性中耳炎難治化に対する肺炎球菌フェーズ変化の抑制による治療戦略に関する研究
Project/Area Number |
24592556
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
戸川 彰久 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70305762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
池田 頼彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20423949)
小上 真史 和歌山県立医科大学, 医学部, 研究員 (90423946)
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Keywords | 肺炎球菌 / 急性中耳炎 / 莢膜多糖体 / フェーズ変化 |
Research Abstract |
1996年にWeiserは、肺炎球菌は莢膜構造の差により2つのコロニー形態を示すことを報告している。莢膜が薄く、細菌の付着因子の発現が高いとされ、肺炎球菌が上皮細胞に付着することにより有利に働くと考えられるTransparent型肺炎球菌と、厚い莢膜構造のため、補体結合性が低くオプソニン化後の貪食処理に抵抗を示し、局所組織内に長期に存在することに適するOpaque型肺炎球菌である。急性中耳炎の難治化には、、細菌自体の形態(フェーズ)も大きく関与すると考えられるが、その報告はほとんどない。我々はフェーズ変化に関連する検討を進める上で、基本となる肺炎球菌のフェーズ評価法を確立した。さらに莢膜量に詳細な検討を加えるために肺炎球菌の莢膜量の定量化を、その主要な病原因子である莢膜多糖体(capsular polysaccharide)に注目し、その評価方法を確立した。中耳貯留液および鼻咽腔からの肺炎球菌の血清型とそのOpaque型コロニーとTransparent型コロニーの割合をcatalaseを含有したTryptic soy agar 寒天培地を用いて検討した。急性中耳炎患児において中耳貯留液由来と鼻咽腔由来の肺炎球菌Opaque型の割合を比較すると、中耳貯留液由来のOpaque型の割合が統計学的に有意に上昇していた。血清型別には一定の傾向は認めなかった。 今後フェーズ変化に対して影響を与える環境因子がさらに解明されれば、中耳炎の治療戦略にも影響を与えることとなり日常臨床にも大きく貢献すると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は予定通り進行しており、次年度の実験につながる準備が整った状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE法)を用いて同一患児から同時に採取した中耳貯留液・鼻咽腔由来の肺炎球菌で遺伝子学的相同性を検討し、鼻咽腔から中耳における肺炎球菌のフェーズ変化を検討する。また同一患児から同時に採取した中耳貯留液および鼻咽腔由来の肺炎球菌で血清型とOpaque型コロニー、Transparent型コロニーの割合を検討予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究は予定通り進行しているが、今年度の消耗品が予定より消費量が少なかったため次年度使用額が生じた。 次年度引き続き物品の購入費として予算を充てる予定である。
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Research Products
(5 results)