2012 Fiscal Year Research-status Report
内耳組織に発現する多機能タンパク質CASKの分子機能解析
Project/Area Number |
24592571
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本田 晶 独立行政法人理化学研究所, 感覚器官発生研究室, 研究員 (50443023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尻 真一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00532970)
喜多 知子(嶋知子) 独立行政法人理化学研究所, 感覚器官発生研究室, 研究員 (20362519)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 内耳形成 / 蝸牛神経 / 有毛細胞 / CASK / conditional KO マウス |
Research Abstract |
CASKコンディショナルノックアウト (CASK cKO)マウスで認められた蝸牛神経細胞数の顕著な減少について、関連要因を明らかにすべく、種々の組織染色を検討した。 まず切片像では、抗periferin抗体によるII型神経細胞の選択的な染色を試みたが、市販の抗体では安定した染色像が得られなかった。そこで今後、抗MBP(Myelin binding protein)抗体を用いて型別の神経細胞数をカウントする。また有毛細胞の神経接合部位においてRibbonシナプス数を、抗CtBP2抗体と抗PSD95抗体で共染色したが、cKOマウスとWTマウスとで違いは認められなかった。切片作成には脱灰処理を必要とするが、これが免疫反応性の低下につながる可能性がある。そこで今後は、脱灰非処理のホールマウント像で同様の染色を調べる。 今回、ホールマウント像において外有毛細胞 (outer hair cell)数の一割減少を認めた。一方、内有毛細胞 (inner hair cell)の数は変わらなかった。内有毛細胞にはI型神経細胞、外有毛細胞にはII型神経細胞が主に接合していることから、型別の神経細胞数のカウントは重要と考えられる。 さらにCASK cKOマウス(2ヶ月齢)の聴覚および平衡覚について、理化学研究所 脳科学総合研究センター(有賀純、永雄総一両博士)において、ABRおよびVORの機能検査を実施した。当初の計画では平成26年度に実施する予定であったが、計画を変更して前倒しで実施したものである。検査の結果、ABRではamplitude、latencyともに有意差が得られ、VORではphaseにおいて若干の差が認められた。 CASK cKOマウスでの表現型が特定できたことから、今後は主に聴覚機能について、詳細な解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定として、平成26年度にCASK cKOマウスの内耳機能検査を京都大学で実施する予定であったが、その後、さらに専門的な解析がおこなえる場所として、理化学研究所 脳科学総合研究センターの2グループに実施を依頼することとなった。しかしながら、先方の事情により、検査を前倒しして当該年度に実施することとなった(研究実績の概要を参照)。 その後、予想以上にcKOマウスの発生率が低く、また得られた個体についても、脳科学総合研究センターへと搬送する途中で死亡するケースが発生した。機能検査にはある程度の個体数を揃えることが必要であったため、結果的にIVFにより作成し得られた個体のほとんどを機能検査にまわすことになり、その結果、他の実施項目、特にcKOマウスの内耳神経の解析に遅れを生じる結果となった。 内耳機能検査はほぼ終了し、その結果については論文をまとめているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
CASK cKOマウスの内耳機能検査については終了のめどが立ったため、今後は当該年度に実施する予定であった神経組織の解析、およびCASKの核内における転写制御の解析をおこなう。 CASK cKOマウスの個体数の不足については、代理母およびIVF利用による改良をおこなっている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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