2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元気流解析(CFD)に基づいた内視鏡下鼻内手術の最適化の検討
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24592586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
野村 務 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (20228365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 晃一 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (30197751)
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40334370)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鼻副鼻腔疾患 / 三次元気流解析 / 鼻中隔弯曲症 |
Research Abstract |
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの炎症性鼻副鼻腔疾患に対して内視鏡下鼻内手術が数多く施行されているが、気道の形成、嗅覚、air conditioning作用、共鳴作用という基本的な機能を術後に最適化するためにどのような手術手技を採用すればよいのかという点についてはエビデンスが蓄積されていない。この点に鑑み、本研究ではCTを基にした鼻副鼻腔の3次元再構築と気流解析を行い、これまでの手術手技を気流という観点から再検討して内視鏡下鼻内手術の手技の最適化のためのエビデンスを確立することを目的とする。現在我々は正常人、鼻中隔穿孔患者の気流解析を開始しており、本研究ではさらにこれを鼻副鼻腔手術一般に展開し、最終的には個々の患者の病態に合わせて最適な手術操作のシミュレーションを術前に行うという内視鏡下鼻内手術のオーダーメイド化を確立することが目標である。 鼻中隔穿孔患者の術前CTを元に、3次元気流解析の方法はDICOMデータで出力されたCT画像からボリュームデータを作成し、気流解析を行った。術後モデルは、術後のCTを参考とし、術前CT上でモデルの加工を行った。鼻中隔穿孔患者の閉鎖術前後の3次元気流解析を行い、正常人と比較検討した。閉鎖後は気流が改善し、上鼻道方向にも気流が出現していた。穿孔縁周囲に、圧勾配、せん断ひずみ速度の上昇がみられ、また、前縁には乱流の出現がみられた。これらが鼻出血、痂皮脱落に関連している可能性が考えられた。術後にはこららの所見は軽減していた。 今回の結果は実際の臨床効果と一致しており、術前に術後の機能を評価する上で3次元気流解析が非常に有効な方法であると思われた。 現在、他の鼻副鼻腔疾患患者のデータを元に、術後のシミュレーションを行っている。データを集積し、いままでの手術方法で行った群と、気流解析にて算出されて最適とされた手術方法とを比較検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者データの確保、ならびに解析操作に時間を要するが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
鼻副鼻腔患者の術前、術後の臨床および画像データを多く収集し、気流解析を進める。過去の鼻中隔弯曲症の術前術後のデータを患者に提示することにより、よりよく鼻副鼻腔手術を理解いただき、研究の協力に努めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎、鼻中隔穿孔患者に対して行われる鼻中隔矯正術、下鼻甲介切除術、穿孔閉鎖術の術後のCTを元に、術前と同様のモデルを作成し、気流解析を行う。これにより鼻腔の各構成要素と気流パターンとの相関を再検討する。また、術前のモデルをコンピューター上で仮想手術したモデルも作成する。これらのモデルの解析を実際の術後CTに基づいたシュミレーションのデータと比較し、モデル作成の妥当性を気流解析の結果をもとに検討する。 このために、3次元画像処理ソフトウェアを追加して導入し、多くの研究者で協力し、研究を進める。
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