2012 Fiscal Year Research-status Report
極性の変化による網膜色素上皮の環境制御に関する研究
Project/Area Number |
24592634
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
園田 祥三 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20325806)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 網膜色素上皮 / 極性細胞 |
Research Abstract |
ブタ網膜色素上皮細胞 (RPE)の初代培養細胞を、Transwell上に播種し極性を持った細胞を培養し実験を行い、これまでに生体内で正常RPEが分泌するVEGFやPEDFが、細胞極性を示すに伴って増加することを示した。本年度は、病的な状態で分泌が亢進している炎症性サイトカイTNF-aの作用に注目し実験をおこなった。Transwell上下コンパートメントそれぞれに、TNF-a 10ng/mlを添加し、細胞バリア機能の指標となるtransepithelial resistance (TER) 、細胞間接着因子蛋白 (ZO-1, Occuldin. Claudin)、VEGF分泌を解析を行ったところ、極性を持ったRPEではTNF刺激によってTER、VEGF分泌量は減少し、細胞間接着因子蛋白発現が低下した。従来の極性を持たないRPEでは、TERは不変、TNF刺激によってVEGF分泌は増加するが、それとは異なる結果であった。細胞間接着因子蛋白やVEGFについては、RT-PCRや免疫染色によっても同様の結果を得ており、この極性あるいは非極性のちがいによる細胞の反応性の違いが生体における病態形成に深く関わっていると考えている。 現在、この現象の違いを細胞内シグナルの観点から解析を行っている。これまでに、主にTERや細胞間接着因子蛋白については、極性細胞においては、P38MAPKの関与によりこれらの現象が引き起こされ、一方非極性細胞ではP38MAPKの関与が少ないことを解明している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在極性を持ったRPE培養を安定的に行うプロトコールを確立して、再現性の高い実験をおこなうことが可能となっている。また生体内での病態形成に深く関与すると考えている、極性と非極性の細胞状態における反応の違いをTNF-a刺激で実験的に確認することができ、我々の仮説をサポートする結果の手がかりを得ることができた。すなわち、生理的な状態では生体ではRPEは極性をもち、病気のストレスに対して保護的に機能している事が予想され、加齢や病的な状態によって極性を失うことが病態形成に重要であるとの考えである。現在、これらの現象を、細胞内シグナルの点からアプローチして、極性・非極性のちがいを検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
極性を持つRPE細胞を用いて様々なサイトカイン等(TNF-a,IL-1b,TGF-b, トロンビン等)による刺激を行い、病態形成に関係がある因子(VEGF,PEDF, junction protein等)の解析を継続して行う。また、極性細胞と極性を持たない細胞における刺激による反応の違いのメカニズムの解析(バリア機能の解析、Golgiからの分泌解析等)を行う。今後VEGF分泌の違いのメカニズムついて、細胞内シグナルJNKに注目して解析を行う予定である。 また、ブタ極性RPEを用いて、超音波照射による薬物・遺伝子導入の可能性についても開発を進める予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
-
-
-
[Journal Article] Dynamic increase in extracellular ATP accelerates photoreceptor cell apoptosis via ligation of P2RX7 in subretinal hemorrhage2013
Author(s)
Notomi S, Hisatomi T, Murakami Y, Terasaki H, Sonoda S, Asato R, Takeda A, Ikeda Y, Enaida H, Sakamoto T, Ishibashi T
-
Journal Title
PLoS One
Volume: epub ahead
Pages: epub ahead
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-