2013 Fiscal Year Research-status Report
視細胞変性に伴ったsynaptic remodelingが網膜機能に及ぼす影響
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24592677
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
町田 繁樹 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (30285613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 貴光 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (30405766)
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Keywords | 網膜電図 / 網膜疾患 / ERG / 黄斑疾患 / 緑内障 |
Research Abstract |
1. 網膜色素変性の動物モデルを用いた研究:RCSラットは、遺伝性の視細胞変性をきたす動物モデルである。視細胞の変性脱落にともなって、網膜内層に由来する律動様小波のNMDAに対する感受性が変化することを論文として発表した(Harada, Machida et al., Doc Ophthalmol 2013)。2. 網膜色素変性(RP)の臨床例での研究:RP患者からの通常の網膜電図(ERG)解析は困難である。なぜなら、RP患者が受診する時期には視細胞変性が進行しており、ERG振幅が極めて低下しているからである。RPでは黄斑部の機能が保たれているので、黄斑局所ERGを記録し解析した。その結果、網膜内層に由来する律動様小波およびphotopic negative response(PhNR)がa-およびb-波に比較して維持されていた。3. 様々な眼底疾患における研究 1) 手術中に用いる色素の評価:黄斑円孔の手術の祭に、indocyanine green (ICG), brilliant blue G (BBG)あるいはtriamcinolone acetonide (TA)を用いて内境界膜を染色する。これらの染色剤の網膜内層への影響を錐体ERGで検討した。その結果、ICGを用いた場合は、術後にPhNRの振幅が低下し、術前のレベルまで回復しないことが判明した。ICGを使用すると潜在性の網膜神経節細胞障害が生じることを示している(Machida et al. Grafes Arch Ophthamol Clin Exp, in press)。2) 緑内障と黄斑円孔手術後の網膜内層の形態および機能変化の比較:緑内障および黄斑円孔術後に網膜内層は菲薄化する。網膜内層の厚さをganglion cell complex (GCC)として光干渉断層計(OCT)で計測した。緑内障ではGCCの菲薄化に伴ってPhNR振幅が低下した。一方、黄斑円孔術後ではGCCが菲薄化してもPhNR振幅は保たれいた。形態-機能の関係が、これらの疾患では異なることが明らかとなった(Machida et al. Curr Eye Res, in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜電図(ERG)を用いることで、動物モデルおよび臨床症例で網膜内層の機能を評価することができた。遺伝性視細胞変性モデルであるRoyal College of Surgeons(RCS)ラットでは、視細胞変性の進行に伴って、網膜内層のN-Methyl-DL-Aspartic Acid(NMDA)レセプターの機能的な変化が生じることを明らかにできた。 視細胞変性の臨床症例では、RCSラットと同様に網膜内層の機能以上が観察された。また、ERGの網膜内層成分であるPhNRが多くの疾患で変化することを示した。更に、PhNRと網膜内層の形態との関係に疾患特異性があることを見出した。 以上のように、動物研究で得られた成果を臨床疾患へ発展・応用できた。しかし、視細胞変性で生じる網膜内層の機能変化については、そのメカニズムを明らかにすることができていない。ごく最近、他の研究グループから、視細胞変性に伴って網膜内層のsynaptic proteinが増加することが報告された。我々の研究結果を裏付ける成果として注目している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度なので、研究成果を論文としてまとめ発表する。これによって、得られた成果を公に公表したいと考えている。更に、下記の研究課題のデータ収集を行う予定である。 1. 網膜内層の機能と形態の関係が網膜部位によってことなるかどうか。 2. 多局所ERGを用いた網膜内層の機能評価 3. 加齢黄斑変性の治療後の黄斑機能を黄斑局所ERGで機能評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究は、既存の設備で行ったために、物品費による支出が予定を下回ることができた。 次年度は、論文に学会にて研究成果を発表する。このため、論文掲載費および学会旅費への支出が大幅に増加すると見込まれる。
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Research Products
(6 results)