2012 Fiscal Year Research-status Report
体外フォトフェレーシスによる抗原特異的免疫寛容機序の解析
Project/Area Number |
24592715
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
清水 史明 大分大学, 医学部, 講師 (50347027)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 同種異系間複合組織移植 / 体外フォトフェレーシス / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
体外フォトフェレーシスにて臓器移植ドナー抗原に対する減感作を試みた。移植モデルとしてmBNラットをドナーとし、LEWラットをレシピエントとして利用した。ドナーのBNラットから遊離皮弁を挙上し、それをレシピエントのLEWラットに移植した。移植前に、ドナーであるBNラットから脾細胞を分離採取し、これに8-MOPを添加し、UVB照射を行うことで体外フォトフェレーシスを行った。体外フォトフエレーシス処理細胞は、移植予定のLEWラットに静脈内投与することで、減感作を起こす試みを行った。その結果、体外フォトフェレーシスを行ったグループと、行わなかったグループとの間で、肉眼的観察およびリンパ球混合刺激試験による観察で、移植後の拒絶反応が抑制されることが分かった。しかし、個体により抑制の程度の差が大きいことが分かり、動物モデルの調整や使用薬剤濃度の調整などを行った。その結果、体外フォトフェレーシスを行う際に使用する8-MOPの濃度により結果が左右されることが分かった。そこで、いくつかの濃度を試み、もっとも安定した結果を得やすい濃度を見つけることができた。この、安定したモデルを用いて、そのメカニズムを解明するためにまず、フォトフェレーシス細胞が移植ラットのどの臓器に取り込まれるかを観察した。観察の際は、フォトフェレーシス処理したリンパ球を放射性同位元素にてマーキングを行い移植を行った。移植から3日後にレシピエントのラットから、腸管、心臓、肺、肝臓、脾臓、リンパ節、胸腺などを採取してこれらに取り込まれたフォトフェレーシス処理後の細胞を検索した。その結果、脾臓とリンパ節に多く取り込まれる傾向が分かった。今後は検討症例数を増やして、どの臓器に取り込まれる傾向にあるかどうかさらに追及していく予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
体外フォトフェレーシスによる拒絶反応抑制の程度に個体差が多く、その原因究明に時間がかかった。現在のところ添加する8-MOPに原因があると考えられ、至適濃度に調整する試みを行った。その際使用する8-MOP濃度により実験グループを分け、各々のグループ間で、どのグループが安定した拒絶反応抑制結果を得られるか検討した。その結果、至適濃度が判明したため、この濃度の8-MOPを用いて実験を再スタートさせた。これまでの作業に時間を要したため、予定よりやや遅れる進行状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
8-MOPの濃度調整により、安定した結果を得るモデルが完成したため、まず、これを用いてフォトフェレーシス処理細胞の取り込み臓器の検討を行う。観察の際は、フォトフェレーシス処理済みの細胞を移植床ラットに移植し、数日後各臓器を取り出して、アイソトープを用いてどの臓器に多くフォトフェレーシス処理済み細胞が選択的にとりこまれていうかどうかを調査する。さらに本処置にて制御性T細胞の誘導が起こっているのかどうか確認を移植床ラットの血液をもちいて行う。そして、フォトフェレーシス細胞の各サブタイプについてautoMACSシステムを用いて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度にautoMACSシステムを購入して、各サブタイプの検討に利用する予定であったが、観察モデルの免疫寛容導入の安定化に時間を要し、上記検討まで至らなかった。その為、予定していた利用額に達しなかった。しかし、24年度に安定した観察モデルが完成したため、本年度autoMACSシステムを購入し、この感作モデルを利用して検討を進めていく予定である。
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