2012 Fiscal Year Research-status Report
抗がん効果を付加した遊離組織皮弁(免疫皮弁)による新しいがん免疫療法の開発
Project/Area Number |
24592725
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
井上 啓太 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (80618520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 靖人 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (70222552)
中川 雅裕 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (00285793)
清原 祥夫 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (70205037)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫皮弁 / 免疫療法 / 皮弁 / 悪性腫瘍 / 遊離組織移植 |
Research Abstract |
【動物モデル】当初B6マウスを用いて免疫皮弁モデルの確立を目指したが、外科的操作により容易に血管れん縮を来し、高率に皮弁の壊死を認めた。したがって、よりサイズの大きいFischer344ラットをもちいたモデルの確立を目指した。結果として、ラット8週令の成獣を用いて、そけい部に直径1cmの有茎皮弁を作成し、下腹部正中に移動することで安定して皮弁モデルを作成できた。また、残存癌モデルとしてglioma細胞株、乳癌細胞株、扁平上皮癌細胞株を用いた坦癌ラットをそれぞれ作成し、結果として扁平上皮癌細胞株(SCC-158)をラット皮下注し、in vivoで継代移植(~P5)して樹立した腫瘍細胞を10e3から10e4個の細胞懸濁液として皮下注射する方法において、安定した腫瘍の生着と増殖が得られた。また、皮弁周囲組織の免疫関連遺伝子の発現の検証もおこなった。 【樹状細胞採取・移植方法】6-7週令ラット大腿骨骨髄から骨髄細胞を採取し、GM-CSF, IL-4存在下で7日間培養し、SCC-158腫瘍ライセートおよびLPS刺激により抗原感作を行った。回収した細胞についてFACS解析を行い、樹状細胞マーカーの発現を確認しきた。細胞を、SCC-158坦癌ラットの腫瘍内に注射したが、現時点でははっきりした腫瘍抑制効果を認めていない。また、樹状細胞のtrackingのために、in vivo imagingを検討した。ラット樹状細胞を蛍光色素DiRで標識し、皮弁血管内に動注し、24時間後にOptix® Mx2 systemを用いて撮影したが、蛍光の発色が弱く、撮影に成功していない。並行して組織切片の免疫染色(anti-CD11b)による樹状細胞の局在も検証したが、染色に成功していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初マウスを用いた皮弁作成を行って実験を試みたが、動物が小さく断念した。これに8カ月程度費やした。途中ラットに動物を変更したため、樹状細胞の採取方法などを新たに確立する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
【動物モデル】当研究に於いては、移植した樹状細胞がどのように生体内に分布するのかを詳細に検討しなければならない。当初予定していた、DiRによる樹状細胞のtarckingのためのin vivo imagingを行うのが予想より困難であったため、今後はDiIなど他の蛍光し色素に変更してin vivo imagingを試みる。もしくは、in vivo imagingに実績のある研究者に助言を求めることとする。または、薄切切片の免疫染色でも樹状細胞の局在を特定するのに有用であることが判明したので、今後は免疫染色によるtrackingも併用してゆく。また、皮弁血管に動注する細胞の多寡により皮弁内血管に於いて細胞塞栓を起こしうることが判明したため、どれくらいの細胞移植が可能か、条件検討をすることになった。 【樹状細胞の機能解析】6-7週令ラット大腿骨骨髄から骨髄細胞を採取し、GM-CSF, IL-4存在下で7日間培養し、SCC-158腫瘍ライセートおよびLPS刺激により抗原感作を行った樹状細胞を使用するが、こうして得られた細胞の特性についてはFACS解析で表面抗原の発現プロファイルを見たのみで、in vinoにおいての抗腫瘍効果については、未評価もしくは未確認である。in vivoにおける抗腫瘍効果の判定のために、腫瘍細胞株凍結ライセートで刺激した樹状細胞を、皮弁を用いずに単純にラット皮内注射し腫瘍縮小効果を解析する。解析方法は腫瘍の発育速度、腫瘍体積、生存率である。最終的には、このモデルは免疫皮弁を用いた樹状細胞移植法との対比において、コントロール群として用いる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、動物実験が主体となるためラットの購入費用が主な支出となる。概算でin vivo imagingの検討のために10匹、免疫染色の条件検討のために10匹、免疫皮弁における樹状細胞注入量の検討のために30匹、樹状細胞の抗腫瘍効果判定のために50匹、免疫皮弁による抗腫瘍効果解析のために100匹、樹状細胞採取のために100匹程度必要と考えられる。また、樹状細胞の局在を確認するための、蛍光色素(in vivo imaging用)もしくは抗体(免疫染色用)の購入費が必要である。DiIなどの蛍光色素を2―3種類、樹状細胞用抗体を3-4種類の購入を予定している。また、樹状細胞を大量に調整する為、GM-CSF, IL-4の購入費が必要である。
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