2012 Fiscal Year Research-status Report
マウス二次口蓋突起の先端上皮間接着の分子制御と口蓋裂の発症機構
Project/Area Number |
24592780
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
田谷 雄二 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30197587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青葉 孝昭 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (30028807)
添野 雄一 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (70350139)
藤田 和也 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (70549055)
佐藤 かおり 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (90287772)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯学 / 器官発生 / マウスモデル / 顎顔面発生 / 裂奇形 / 上皮間葉相互作用 / 遺伝子ネットワーク / miRNA |
Research Abstract |
マウス二次口蓋形成における口蓋突起間の癒合機序について、研究代表者らはDNAマイクロアレイ解析と遺伝子改変モデルでの表現型データベースの解析から、Tgfβ3とCaskが接着期の口蓋突起先端上皮(MEE)細胞の表現型を決定する機軸分子であることを明らかにしてきた。これらの分子機能として、Tgfβ3はMEE細胞表面での糸状仮足の形成誘導、Caskは糸状仮足による細胞接着シグナル伝達(細胞膜直下から核内移行してMEE細胞の増殖抑制に働く)を担うことにより突起間癒合に寄与すると想定しているが、両分子の連携・相互作用は知られていない。本研究では、接着期MEE細胞における遺伝子・miRNA発現の網羅的解析と器官培養系での機能解析に基づき、二次口蓋突起形成におけるTgfβ3とCaskを介した分子ネットワークと機能について明らかにする。 本年度では、Caskおよび既報で得られたCask関連分子について、マウス胎仔MEE細胞の顕微切断・発現定量解析による検証と蛍光免疫染色・共焦点観察による二次口蓋突起で局在解析を実施し、以下の結果が得られた。(1) 野生型マウスの接着期二次口蓋突起では、MEE細胞および上皮下間葉細胞でともに発現する遺伝子(Cask、Dlg1、Lin7c、CDK5、Sumo1、Calm1、Id1)と、MEE細胞でのみ発現する遺伝子(F11r、p21)を検出した。(2)F11rとp21タンパクの免疫染色では、MEE細胞においてCaskとの共局在が確認できた。F11rはCaskとの結合能を有することが知られている。これらの所見を総合して、MEE細胞間接着においてCaskはF11r関連分子との複合体を形成し、核移行してp21の転写誘導(Id1の転写抑制を解除を想定)に寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度となる本年度では、ICR系マウスを用いてリアルタイムPCR法によるMEE細胞でのCaskとCask関連分子の遺伝子発現検証と、蛍光免疫染色による二次口蓋突起でのタンパク局在確認を目標とした。接着期二次口蓋突起のMEE細胞とMEE近傍の間葉細胞をマイクロダイセクション(LMD)により分離・採取することにより、両細胞種の遺伝子発現レベルを個別に定量解析することができた。その結果として、接着期二次口蓋突起においてMEE・間葉のいずれでも発現する分子と、MEE細胞でのみ発現する分子とを区別することができた。タンパク局在については、蛍光多重免疫標識により接着直前と接着途上のMEE細胞における糸状仮足の形成領域、接着部分の細胞膜直下、細胞核での局在を確かめた。特にCask分子との共局在を実証する目的では、連続薄切標本に対して共焦点レーザー顕微鏡を用いて1μm間隔で共焦点断層像を撮影し、断層画像を積層してMEE細胞全体を立体構築することで細胞内での分子局在を詳細に観察することも実現できた。二次口蓋突起の癒合段階(水平伸長期・接着期・間葉合流期)における遺伝子発現変動については、マイクロアレイ解析を実施し、遺伝子発現プロファイルの予備検討としてCytoscapeとそのプラグインBiNGOを用いてGene Ontology(GO)解析を進めた。本年度中途において日本歯科大学共同利用研究センターにIngenuity Pathway Analysis (IPA)が新規導入されたため、GOの再検索も実施した。この結果として、予備検討でのGOプロファイルが再確認できたうえ、詳細な血管、神経関連オントロジーの抽出ができ、Caskを中心とした予測分子ネットワークも得ることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、二次口蓋突起MEE細胞での分子局在解析を継続するともに、MEE細胞表面の糸状仮足とプロテオグリカン構造等の詳細についても電顕を併用した組織観察を実施する。初年度に確証できたTgfβ3―Caskに関連する分子の作用機序を検証する目的で、マウス胎仔の接着期MEE細胞を単離し、two-hybrid法を実施する。また、胎仔頭部から摘出した口蓋突起の器官培養系での分子発現抑制実験を開始する。二次口蓋突起器官培養系では接着期以降のin vivoでみられるMEE細胞の動態を再現できることを確かめている。遺伝子発現抑制では転写開始点を含む領域、miRNA抑制ではRISCに取り込まれるGuide鎖またはDicer切断部位を含むループ領域を標的とした20-30塩基のmorpholino anti-sense ODNとsense ODNを使用し、培養0~48時間での組織形態変化(MEE細胞間接着、増殖)を観察する。二次口蓋試料でのmorpholino-ODNによる阻害実験はこれまでにMEE細胞の間葉形質転換に働くsnail遺伝子発現抑制で有効なことを確かめているが、morpholino-ODNが十分な効果を発揮しない場合には、リポソームや遺伝子導入装置を使って導入効率の向上をはかる。また、分子発現におけるmiRNAを介した転写後制御にも注目して、miRNAマイクロアレイ解析も計画する。発現変動を示したmiRNAの検証にはLMD/リアルタイムPCR法を使用する。miRNAの配列はmiRDB(http:mirdb.org/miRDB/)から入手し、miRNAのプライマーはmiRNAの全長(Fw)とUniversal primer(Rv)を準備する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)