2012 Fiscal Year Research-status Report
統計的画像再構成法による歯顎顔面部X線CT画像における金属アーチファクトの除去
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24592825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
早川 吉彦 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70164928)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | X線CT画像 / 金属アーチファクト / 逐次近似法 / 統計的画像再構成法 / 歯顎顔面画像診断 |
Research Abstract |
統計的画像再構成法を利用してX線CT画像上のメタル・アーチファクトを軽減する方法について研究を行った。まず逐次近似法ML-EM(maximum likelihood-expectation maximization algorithm)法を使ったが,画質に影響せずに演算を高速化できるOS-EM(ordered subset-expectation maximization)法をその後は採用した。私たちの方法は次の事実を基づく。歯顎顔面部では薄いスライスで撮影されていて,隣り合うスライスには非常に似た解剖学的構造が描出されている。アーチファクトのない画像の隣には弱く出る画像があり,徐々に強くなっているスライスがある。そこで,アーチファクトのない画像のプロジェクションデータをもとに次々と隣接する画像を処理していく(successive processing)。また,上顎の画像はhead to footで処理し,下顎の画像は逆方向(reverse processing)とした。このような方法で解剖学的構造描出の再現性はよくなった。平成24年度には,画像処理の高速化のためにいくつかの工夫を行った。OS-EM法の採用だけでなく,顎骨内でアーチファクトの発生している部位にできるだけ小さなROIを設定することとGPGPUマシンとCUDAプログラミングで処理することである。また,歯科矯正用ワイヤやブラケットによる不規則なアーチファクトが存在する画像に対する処理も行った。MDCT画像の処理で非常に小さなROIを設定した場合,歯科矯正装置よる不規則なアーチファクトが存在した場合,0.2mm厚のCBCT画像を処理した場合,それぞれで良好な結果を得た。また,OS-EM法の採用,小さなROIの設定,及びGPGPUとCUDAでそれぞれ計算時間の大きな削減が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
GPGPUマシンとCUDAプログラミングによって演算を高速化することに,研究費の大きな部分を費やした。それによって,かなりの演算の高速化を実現し,現在その成果を北米放射線医学会雑誌に投稿中である。これ以外のアルゴリズムも改良については,OS-EM法の応用,successive processingとreverse processingの採用,小さなROIの設定などに取り組んだ。平成24年度内にその成果をまとめ,米国歯顎顔面放射線医学会雑誌“Oral Surgery Oral Medicine Oral Pathology Oral Radiology”に投稿し,2013年2月号に掲載された。以上の研究は,研究協力者(海外共同研究者)のCornelia Kober(Professor, Professor, Faculty of Life Sciences, Hamburg University of Applied Sciences, Hamburg,Germany)と共同で行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
歯科矯正用ワイヤやブラケットによる不規則なアーチファクトが存在するMDCT画像に対する処理を行う。GPGPUマシンに対するCUDAプログラミングを最適化して,一層の演算高速化を行う。また,3次元フィルター処理や領域拡張法による処理がMDCT画像に有効であるという感触を得ているので,その応用を検討する。また,コーンビーム型X線CT画像に対する処理を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「GPGPUマシンに対するCUDAプログラミング」のコストパフォーマンスがよくなっているので,マシンを買い増して,大学院生の協力によってこのプログラミングによる画像処理の最適化で演算の高速化を図る。日本歯科放射線学会医療情報委員として、6月のCARS (Computer Assisted Radiology & Surgery)と11月末のRSNA(Radiological Society of North America)で開催されるDICOM Standards Committee, Working Group 22 (Dentistry)でプレゼンテーションを行っている。したがって、両学会に参加する機会を捉えて学術発表を行う。演題申込の採択率は前者で70%,後者で40%以下と思われる。 なお,次年度使用額が10万円発生した。平成25年1月に「GPGPUマシン」の見積をとったところ予想より安かったためである。平成24年11月末に行われた国際学会(RSNA)で東京慈恵会医科大学の中田典生先生と議論して考えた仕様で予想した。それをそのまま発注したので次年度使用額が生じた。この次年度使用額を今年度請求額に合算して使用する。
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Research Products
(6 results)