2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔がんの予後予測に対する画像診断学的及び分子生物学的アプローチの戦略的融合
Project/Area Number |
24592838
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
森本 泰宏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (00275447)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | MR spectroscopy / 18F-FDG / 機能 / 口腔乾燥症 / 口腔がん |
Research Abstract |
1 正常者の頭頸部におけるMRスペクトロスコピーの撮像を行い、単一元素の検出を行ってきた。はじめに唾液の成分との比較を行うために耳下腺及び顎下腺に的を絞り、撮像及び成分分析を行った。しかし、両組織には極めて高い脂肪成分が多く、正確な成分分析を行うことができていない。今後は新たなソフトウエアを応用することで対処していく予定である。同時に、口腔がん患者に対して腫瘍部分におけるcholineとcitrateそれぞれの量や両者の比と病理学的性状とを比較する予定である。 2 口腔がん患者の18FDG-PET-CT画像から得られるSUV値について、検討する中で、正常部にも高集積を示す領域が多数あることを明らかにした。そのため、SUV値が高値を示す領域や状態を検討した。その結果、口輪筋と舌筋に集積が強いことが確認できた。加えて、根尖性歯周炎と辺縁性歯周炎の程度と18-FDG集積が相関することも確認できた。今後は、口腔がんの病理所見、治療後の再発率、後発リンパ節転移の発症率及び生存率等と比較検討する予定である。 3. Dynamic MR sialographyにおける唾液腺刺激後の変化率と口腔乾燥症の程度及び治療効果が関係していることを確認した。今後、このデータを利用して、口腔がん患者に対して放射線照射を行った患者の間で唾液流出及び口腔乾燥感の相違をDynamic MR sialographyのデータと比較・評価していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
18F-FDG-PET-CTによる口腔がんの評価については順調に進んでいる。一方で、MRスペクトロスコピーによる評価に関しては頭頸部領域に脂肪成分が多いため適切なデータが得られず、苦労している。口腔乾燥症の評価に関しては順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
18F-FDG-PET-CTによる口腔がんの評価に関しては昨年同様のペースで、実験計画書に沿った形で研究を推進して行く予定である。また、口腔乾燥症の程度及び治療効果に関する研究も実験計画書に沿って推進していく予定である。一方、MRスペクトロスコピーによる腫瘍の性質評価に関しては新たなソフトウエアを応用することで対処していく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度より開始した研究内容を継続して行い、分析対象者である口腔がん患者の症例数を蓄積して行く。腫 瘍の経過を含めた臨床データ、画像診断学的パラメータ(腫瘍の部位、形態的特徴、ADC値、choline/citrate比 の値、Dynamic curveの形態的特徴、18FDGのSUVmean、SUVmax)、分子生物学的パラメータ(上記したWHOによる 組織学的分化度、Y-K分類による浸潤様式、AgNORsの量、免疫染色の数値等)を患者ごとにファイリングし、整理する。また、予後の指標に関しても経過ごとに期間を増し適切に評価する。それぞれのデータは症例数が増すごとに逐次組み入れ、統計処理を行い診断学的意義のあるパラメータの特定を行っていく。更には、ある程度症例数(少なくても50例)が蓄積された時点で、予後の指標で有意差のあるパラメータについてはROC解析を行い 、診断学的意義を明らかにする。同時に、そのパラメータの優劣について多変量解析を行うことにより検討する 。それと並行し上記対象者に対して、拡散テンソルトラクトグラフィを用いて、耳下腺を走行する顔面神経、下顎骨及び舌下間隙を走行する三叉神経の走行を明らかにする。はじめに、正常ボランティアから得られた両神経の正常状態の走行を明らかにし、そのパターンを口腔解剖学書と比較して画像の正当性を明らかにする。並行し て、口腔がん患者に対しても、トラクトグラフィを撮像し、手術前に腫瘍と神経走行との関係を三次元的に評価 する。手術後、口腔がんと一緒に摘出された場合については、神経の走行を標本にて実際に確認し、その正当性を評価する。また、がんが三叉神経及び顔面神経に浸潤していた症例についてはトラクトグラフィの変化を詳細に分析し腫瘍浸潤における神経線維の走行変化を評価する。
|