2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔衛生指標による動脈硬化および骨粗鬆症性椎体骨折リスクの推定に関する研究
Project/Area Number |
24592849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
田口 明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70243582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
細井 孝之 独立行政法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, 部長 (40240709)
東 幸仁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40346490)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨折 / パノラマX線写真 / オッズ比 / 大腿骨 / 動脈硬化 / 頚部石灰化 |
Research Abstract |
今年度はまず、パノラマX線写真の骨粗鬆症および動脈硬化スクリーニング指標の妥当性について、病院コホートを形成し検証を行った。当大学病院を2007~2012年に受診し、パノラマX線写真を撮影した50歳以上の患者1195名に対して、骨粗鬆症を初めとする種々の全身疾患等の質問表と質問に関する同意書を送付し、回収を行った。本研究は松本歯科大学倫理委員会の承認(0152号)を受けた。書類を送付した全ての患者のパノラマX線写真について、歯科放射線専門医が骨粗鬆症スクリーニングの皮質骨形態指標をこれまでの報告に従い、3型に分類した。動脈硬化の指標となるパノラマX線写真上の総頚動脈石灰化所見について、同様に放射線専門医がを判定した。骨粗鬆症診断歴および大腿骨骨折歴を各々独立変数として、近年WHOで開発されたFRAXの骨折リスク因子を考慮して、共変量を補正因子として、ロジステイック解析により、骨粗鬆症スクリーニング指標との関係を評価した。未骨折の骨粗鬆症診断歴(42名があり)では、皮質骨形態指標のオッズ比は、2型で1.70(95%信頼区間[CI]、0.53-5.43)、3型で4.80(95%CI、1.51-15.26)であった。一方で、大腿骨骨折歴(48名があり)については、2型で0.73(95%CI、0.34-1.59)、3型で1.58(95%CI、0.66-3.79)であった。一方、総頚動脈石灰化所見を有する同意者で未骨折の骨粗鬆症診断歴を有するオッズ比は2.03(95%CI、1.06-3.89)であったが、大腿骨骨折歴については1.65(95%CI、0.65-4.15)であった。以上のことから、骨粗鬆症スクリーニング指標については、骨粗鬆症診断については関係はあるが、将来の大腿骨骨折については関係はないことが示された。一方で、動脈硬化は骨粗鬆症と関連を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初骨折については、三分の四の患者さんが無症状と言われている椎体骨折をターゲットにしているため、側面エックス線写真を撮影する予定であった。しかしながら、側面エックス線写真は被曝の問題が各被験者に出てくるため、代替骨折部位として初年度は大腿骨骨折で検討を行ってみた。その結果、従来のパノラマX線写真では大腿骨骨折のリスク推定を行うことはできないことが判明した。その反面、明らかに病院で「骨粗鬆症」と診断された既往とは関連を有することが示されたことから、日本人では比較的多いとされる椎体骨折患者と関連を有する可能性が考えられた。次年度からは椎体骨折のサロゲートマーカーとして、自己申告の腰の曲がりを指標に導入する予定としている。この自己申告の腰の曲がりと椎体骨折との関連は強い。
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Strategy for Future Research Activity |
第1点は、これまでの被験者に対しての再度の質問により、サロゲートマーカーの「腰の曲がり」について調査し、昨年度と同様に分析を行うことである。それとともに、現在の被験者数をあと500増やすため、再度アンケート調査表の配布を行う。動脈硬化については、これがパノラマX線写真で見られた場合、骨粗鬆症のリスクが非常に高いことが示されたが、次年度は口腔の指標(現在歯数、歯槽骨吸収度)と総頚動脈石灰化指標との関連について検証し、口腔の指標から動脈硬化リスクが同定できるかについて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
6月のノルウエーでの国際顎顔面放射線学会および国内での日本歯科放射線学会総会(福岡)で初年度の発表を行うため、旅費として使用する。またアンケート調査を継続するため、調査用紙、調査用紙の印刷および調査用紙の送付用袋の購入を行う。またサブグループ解析で、パノラマX線写真で総頚動脈石灰化を有する被験者の実際の動脈石灰化の状態を超音波検査で記録するための印紙および超音波ゼリーの購入を行う。加えて、自己申告の腰の曲がりが椎体骨折のサロゲートマーカーとして使用可能かの検証について、サブグループにおいて、側面エックス線写真との比較検討(倫理委員会承認後)を行うためのレントゲンフィルムの購入を行う。
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[Journal Article] Intima-media thickness of brachial artery, vascular function, and cardiovascular risk factors2012
Author(s)
Iwamoto Y, Maruhashi T, Fujii Y, Idei N, Fujimura N, Mikami S, Kajikawa M, Matsumoto T, Kihara Y, Chayama K, Noma K, Nakashima A, Higashi Y
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Journal Title
Arterioscler Thromb Vasc Biol
Volume: 32
Pages: 2295-2303
DOI
Peer Reviewed
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