2013 Fiscal Year Research-status Report
選択的咀嚼筋制御と各咀嚼筋の代償性機能発現の特性に関する研究
Project/Area Number |
24592900
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古内 壽 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50209160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 誠 東北大学, 歯学研究科(研究院), 客員教授 (80091768)
坪井 明人 東北大学, 東北メディカルメガバンク機構, 教授 (00241646)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
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Keywords | 歯学 / 顎口腔機能 / 咀嚼運動 / 筋活動 |
Research Abstract |
1.目的: 咀嚼運動は各咀嚼筋の共同作業により行われているが、それぞれの咀嚼筋が顎機能にどのようなタイミングでどのように関与しているかの詳細は必ずしも明らかではない。これまでわれわれはヒトの先天性疾患の症例を通して、咬筋の機能低下によって他の咀嚼筋の筋活動電位と活動パターンが変化することを明らかにしてきた。 本研究では実験的にウサギ咀嚼筋に筋選択的な機能抑制状態を作り出し、他の咀嚼筋に生じる代償性・同調性・協調性機能変化を解析し、各咀嚼筋の作用を詳細に解明することを目的とした。すなわちA型ボツリヌス毒素により局所選択的に咬筋機能抑制ウサギを作 成し、その後、各咀嚼筋の筋電図を導出し咀嚼筋機能を分析することを企図した。 2.材料、方法: 日本ウサギ(雌、体重2~2.5Kg)を用いて全身麻酔下で咬筋浅部にA型ボツリヌス毒素(BTXA)を局所投与し、咬筋機能抑制ウサギを作成した。筋機能は咀嚼筋の筋電図をテレメトリーシステムにて導出することとし、体内埋め込み型筋電図電極を咬筋に、送信器を肩背部に設置することとした。 3.結果: ウサギ片側咬筋浅部にBTXAを投与したところ筋の厚みが縮小し咬筋浅部の筋委縮が確認できた。筋電図の導出については、全身麻酔下でウサギ咬筋への筋電図電極設置および肩背部への送信器埋入を行ったが、電極の脱離や送信機の露出等が生じ、非拘束下で長期的に電極を維持・安定するには電極部分のさらなる改良が必要であることがわかった。 4.まとめ: 筋選択的に咬筋機能抑制モデル動物を応用し、テレメトリーシステムで長期安定的に非拘束下での咀嚼筋筋電図の導出を行い実験的に筋機能を解析することは咀嚼筋の詳細な機能分析に非常に有効な方法であり、今後、筋電図電極の改良と手術方法の適正化を図り研究を推進していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ウサギを用いて咀嚼筋の筋電図を長期安定的に導出するにはテレメトリーシステムの筋電図電極の改良と手術方法の適正化が必要であることがわかったが、その改良に時間がかかっており研究の進行がやや遅れている。平成26年度に繰り延べて研究計画の遂行を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き研究を推進していく。以下にその内容を示す。 1.咬筋機能抑制ウサギの作成:全身麻酔下でウサギ咬筋にBTXAを注入し、咬筋機能抑制ウサギを作成する。 2.筋電図導出用テレメトリーシステムの埋入・設置、周辺機器の整備:全身麻酔下でウサギ咀嚼筋に筋電図電極の設置と肩背部に送信機の埋入を行い、テレメトリーシステムを再構築する。筋電図電極はリード線の変更およびリード線の走行方法等を改良し、安定して筋電図が導出できるようにする。 3.咀嚼筋筋電図の導出および導出条件の再設定:咀嚼筋に設置した筋電図電極と送信機によるテレメトリーシステムを用いて、咀嚼運動に関する適切な筋電図が安定して導出されるように条件設定を行う。 4.各咀嚼筋の変化の検索:筋活動のパターン、筋活動量より筋機能抑制部位と代償性機能亢進部位を評価しこれらの関連性を明らかにし、咀嚼運動に対する各筋の作用を多面的に詳細に解明する。 5.これらを総合した観点から咀嚼運動に対する各咀嚼筋の作用を多面的に解明する。研究成果は学会等で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 次年度使用額は、平成26年度請求額と合わせ平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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