2012 Fiscal Year Research-status Report
顎関節モビライゼーションの治療効果とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
24592910
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
荒井 良明 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (10301186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 秀昌 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60243250)
奥村 暢旦 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90547605)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 顎関節症 / 関節モビライゼーション / 関節可動域治療 |
Research Abstract |
顎関節可動域の減少を訴える顎関節症患者に対して行われる,顎関節モビライゼーションの手技の確立と治療効果を明らかにするとともに,その症状の改善メカニズを明らかにすることを目的に本研究は遂行された. 本年度はボランティアを被験者として,関節モビリゼーションの術前術後の評価方法の妥当性の検討を行った. 関節モビライゼーションによる顎関節可動域の改善は,①メカノレセプターを刺激して,有害な筋反射を抑制する.②低可動性関節包の伸展.③筋や腱膜,結合組織を伸展の3点が考えられている. ①に関しては筋電図測定にて評価,②に関しては下顎頭の下顎運動測定装置にて評価することとした.③に関しては,MR画像のT2マップを用いた定性的,相対的な評価を行うとともに,新たな定量的客観的評価方法の確立を検討した. 本年度我々は,新たに超音波診断装置を用いた咀嚼筋の硬さの客観的評価方法を確立し,顎関節学会にて報告し,測定方法の検討を行った.その結果,筋痛患者では,正常被験者に比べ有意に咬筋が硬いことが明らかとなり,筋の硬さと開口量には負の相関が認められた.すなわち,咀嚼筋が硬くなると,開口量は小さくなり,柔らかくなると開口量は増加した.この評価方法を用いることで,筋や腱膜,結合組織を伸展性と定量的に評価できるようになった. 本年度は,顎関節モビライゼーションの評価方法を確立することができたので,次年度からこの手法を実際の患者に用いて,顎関節モビライゼーションの治療効果を明らかにするとともに,その症状の改善メカニズを明らかにする予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常被験者を用いて関節モビリゼーションの評価方法の予備実験を行い,実験方法の確証を行い,学会で報告し検討するという申請書の予定通りに進展した. さらに新たに開発した超音波診断装置を用いた咀嚼筋の硬さの客観的評価方法においては,日本顎関節学会にてポスター賞受賞という外部評価を受けることができ,本研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
顎関節モビライゼーションの治療効果についての研究方法は,被験者に薬物療法やスプリント療法,関節モビライゼーションの3つの治療法の無作為割り付けを行い,治療効果を比較し検討する.治療効果は関節可動域の他覚的評価として開口量と側方滑走量,自覚的症状の改善として疼痛のVAS値,生活支障度のVAS値の経時的な記録を行う.3つの治療法のアウトカムを分析し統計処理を行い,治療効果の有意差の有無を明らかにする. 顎関節モビライゼーションの治療効果の発現メカニズムについては,関節モビライゼーションが選択されて施行する患者において,施術前と後で下顎運動および筋電図,超音波エコ-を測定する.筋電図は左右咬筋と側頭筋の表面筋電図を今回整備したPowerLabにて記録する.安静時及び開口時,強制開口時の筋電図のRMS値を付属する筋電図分析ソフトchartにて分析し,関節可動域の上昇が収縮性組織である筋の反射性活動の亢進に由来するものかを明らかとする.また MRIを撮影する際には同行し,施術前の画像と施術後の画像を取得する.MRI多次元表示・処理・解析ソフトにて,重ね合わせによる変化部位の抽出および咀嚼筋のT2マップの変化を詳細に分析することで,関節モビライゼーションによる関節可動域の上昇が,収縮性組織(筋・腱・腱膜),非収縮性組織(骨,関節包)のどの部位に効果があったのかを解明する.また,本年度開発した超音波診断装置を用いた咀嚼筋の硬さを客観的に評価する. これらを総合的に評価し,症状改善・治癒のメカニズムを解明する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度で,すべての実験設備は整備されたため,次年度の研究費は,筋電図,顎運動,超音波エコー測定に必要な消耗品ならびに研究内容の報告にのみ用いる予定である.
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Research Products
(1 results)