2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24592911
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 栄 大阪大学, 産学連携本部, 研究員 (40294110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野首 孝祠 大阪大学, 産学連携本部, 教授 (80028753)
小野 高裕 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30204241)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 咀嚼能率 / 咀嚼能力 / グミゼリー / 測定装置 / β-カロチン / スコア法 / 視覚資料 / 自動化 |
Research Abstract |
これまで咀嚼試料にβ-カロチン含有検査用グミゼリー(以下、グミゼリー)を用いた、グルコース濃度測定法、色素濃度自動測定法、咀嚼能率スコア法の開発を行ってきた。本研究では、これら測定法の汎用化を図ることを目的として、測定環境や被験者等、測定対象の拡大化を図り、咀嚼試料ならびに咀嚼能力測定法について検討を行った。24年度の業績は、以下の通りである。 1)咀嚼能率スコア法の確立:グミゼリーと視覚資料のみにより咀嚼機能評価を行う、測定装置を全く必要としない本法について、評価者間の信頼性を示す級内相関係数が0.961と高い信頼性が確認され、汎用化が推進された。 2)国内における情報収集:研究協力施設において、児童から高齢者までの様々な年齢層における咀嚼能力に関する実態調査、および一般市民を対象とした健常者における健康調査を実施し、咀嚼能率スコア法の有用性が明らかとなった。また、口腔内の状況と咀嚼機能を主体としたデータベースシステムを開発し、有用性を確認した。 3)咀嚼試料の検討:本検査用グミゼリーの構成成分に関して、グルコースを含有しないノンシュガータイプを試作し、色素濃度自動測定法による咀嚼能率測定について検討した結果、これまでのグミゼリー同様に高い精度で咀嚼能率が得られることが明らかになった。 4)咀嚼能力評価システムの検討:これまでの色素濃度自動測定法について、すべての工程を自動化したフルオート型咀嚼能力測定装置を開発し、測定条件を確立し、検査用グミゼリーと同時に製品化、販売が開始(2012年9月)された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、これまでに開発したβ-カロチン含有検査用グミゼリーによる咀嚼能率測定法を基盤に、「いつでも、どこでも、誰でも、誰に対しても、簡便かつ正確に測定できる測定法を開発する」ことを主眼に置き、様々な測定環境や被験者等の状況に適した咀嚼試料と測定法に係る課題を多角的に検討し、国内外の対象者に対して提供できる汎用性の高い咀嚼能力評価システムの開発を目指している。 まず、本年度において、特殊な測定機器を必要としない咀嚼能率スコア法を確立し、すでに国内の多くの研究機関、医療機関において、研究、教育、臨床の現場で応用され、研究報告もされている。また、より高い精度を目指して開発したフルオート型咀嚼能率測定装置については、測定条件に関する諸問題が解決され、製品化されたことから、今後の研究機関等における臨床研究に幅広く応用されることが期待される。 以上のことから、当初の目標の大部分が達成されている状況であるが、今後、誰に対しても利用できる検査用グミゼリーの検討、特にグルコースを含有しないノンシュガータイプなど、成分を変えたグミゼリー、また、咀嚼能率が低い被験者に対する被験食品の形状などについて、残る課題について検討が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
咀嚼能力評価法の開発プロジェクトの中心となってきた大阪大学産学連携本部VBL咀嚼評価開発センターが、平成25年3月末をもって、終了となることにともない、研究組織が改変となる。これまで、協力研究者である企業と連携し、検査用グミゼリーおよび測定法の改良、測定条件の確立を重ねた結果、製品化となり汎用化へ踏み出したことから、今後は、臨床研究の場において、データ収集と分析を行い、各研究組織におけるデータを集積、分析するため大阪大学歯学部顎口腔機能再建学講座に組織を移行する。 次年度からは、歯科医療に関わる患者を対象に咀嚼能力の評価を行い、引き続き測定対象の拡大等を試みデータの構築を行う。また、大阪府下に設置されている様々な施設(国立循環器病研究センター、大阪府アクティブシニア講座等)における一般市民に対して本測定法を用い、健康と咀嚼に関する情報を収集する。さらに、ヒトの生涯にわたる一般市民(児童から成人)、介護の分野における摂食・咀嚼・嚥下障害者を対象とした咀嚼能力に関する調査を行い、それぞれの研究施設でまとめられた成果を社会に公開する。加えて、より多くの施設において得られたデータベースから咀嚼能力に影響を及ぼす要因について検討し、患者や一般市民における様々な被験者の状況に応じた咀嚼能力の評価基準の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(18 results)