2013 Fiscal Year Research-status Report
歯周組織幹細胞からみた慢性歯周炎組織破壊と組織リモデリング機序の解明
Project/Area Number |
24592965
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中川 種昭 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00227745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00424169)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 実験的慢性歯周炎 / 組織再生 |
Research Abstract |
歯周組織を再生させる能力がある組織幹細胞としてこれまで歯根膜幹細胞(Periodontal ligament stem cells: PDLSCs)や歯髄幹細胞(Dental pulp stem cells: DPSCs)が報告されている。歯周組織再生療法であるGTR法では、歯根膜周囲あるいは歯槽骨に存在すると想定される内在性幹細胞が、炎症によって失われた歯周組織の再生現象を誘導することからその存在が示唆されている。これまで研究されているPDLSCsやDPSCsは、歯髄あるいは歯根膜組織を培養皿上で接着培養していく過程で、付着増殖した細胞をPDLSCsあるいはDPSCsと定義し、その幹細胞としての性質が調べられてきた経緯がある。そのためこれまで得られた知見は、前駆細胞の混入や培養による性質変化の可能性が否定できず、実際の歯周組織幹細胞の本質を明らかにするには不十分であると考えられる。申請者らはこれまでにフローサイトメーター(FCM)による細胞分離技術を活用した組織幹細胞分離に関する研究を精力的に行っており、マウスではPDGFRα+Sca-1+CD45-Ter119-、さらにヒトではThy-1+LNGFR+をMSCs特異的マーカーとして同定し、MSCsおよびその他の間葉系細胞分画を直接生体から分離する技術を確立した。 計画している具体的な研究項目は①歯根膜幹細胞、歯髄幹細胞を間葉系幹細胞および神経堤幹細胞マーカーを指標にフローサイトメーターにより分離し、その性状を解析する実験系を構築する。②実験的慢性歯周炎発症後の全身および局所における血液細胞と間葉系細胞の動態を解析する。③実験的歯周炎を惹起させたときの組織破壊と治癒様式を歯周組織幹細胞の視点からその動態を解析する、の3つである。 平成25年度は実験的慢性歯周炎発症モデルの作製に着手しているが、モデルマウスの作製はまだ確立できていない。手術用顕微鏡とマクロサージェリー用の器具を用いて、慢性歯周炎モデルマウスを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験的慢性歯周炎モデルマウスの作製方法の確立ができていないため、研究の進展がやや遅れている。慢性歯周炎の病態モデルが確立できれば、実験計画“②実験的慢性歯周炎発症後の全身および局所における血液細胞と間葉系細胞の動態を解析する”に着手できると考えている。しかしながら慢性歯周炎病態モデルが確立できても、局所における炎症反応であるため、フローサイトメトリーを用いて全身における血液細胞と間葉系細胞の動態に有意差が出ないことも予想できる。その場合は、神経堤由来と考えられる間葉系幹細胞は分離する技術を有しているので、それらの細胞を用いて実験的慢性歯周炎における組織破壊をこれらの幹細胞で再生することができるかを検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス間葉系幹細胞のみならず、ヒト歯髄・歯根膜・骨(歯槽骨)・骨膜(歯槽骨)から間葉系幹細胞を分離するための倫理委員会申請書類を作製中である。申請書類の許可が下りれば、ヒト口腔組織由来の神経堤由来間葉系幹細胞分離研究に着手する予定である。研究項目としては「③実験的歯周炎を惹起させたときの組織破壊と治癒様式を歯周組織幹細胞の視点からその動態を解析する」を予定しているが、これまでの研究結果から実験的歯周炎において間葉系幹細胞の動態をフローサイトメトリーで解析することが困難であると判断された場合は、純化された間葉系幹細胞を用いた新規再生療法の開発を目指す。具体的には一部神経堤由来であるマウス間葉系幹細胞を分離し、コラーゲンゲルと混ぜあわせることで「純化間葉系幹細胞シート」の作製に着手する。現在までに細胞を含まないコラーゲンシートの作製は成功しているので、これに純化間葉系幹細胞を含ませることで細胞シートとして機能するのか、あるいは実験的歯周炎発症マウスにおいてこれらの細胞シートが歯周組織を再生させる能力を有するのかを検討する。 ヒト口腔組織からの幹細胞分離について、倫理委員会申請書の手続きが完了した時点ですぐに口腔組織におけるヒト間葉系幹細胞の分離に着手し、マウス同様に純化間葉系幹細胞シートの作製研究をスタートする。さらに免疫不全マウスを用いてヒト純化間葉系幹細胞シートの歯周組織再生能力の検討実験も予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効率的な物品調整を行った結果であり、次年度の研究費と合わせて消耗品購入に充てる予定である。またヒト組織を採取した研究がスタートできなかったためである。現在ヒト組織を用いた研究を行うために倫理委員会申請書を作製中であり、申請が通過したらすぐにヒト幹細胞研究に着手する用意はできている。 ヒト幹細胞研究がスタートできれば、幹細胞分離のためのフローサイトメトリー用抗体や、免疫染色用抗体、また幹細胞シート作製用のコラーゲンゲルなどの購入に使用させていただく予定である。さらにヒト細胞を使った移植研究をおこない、形態面あるいは機能面における歯周組織再生能力の評価を予定している。その場合ワイルドタイプよりも高額な免疫不全マウスの購入が必要になり、その購入費・飼育費として使用させていただく予定である。
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[Journal Article] xCT inhibition depletes CD44v-expressing tumor cells that are resistant to EGFR-targeted therapy in head and neck squamous cell carcinoma2013
Author(s)
Yoshikawa M, Tsuchihashi K, Ishimoto T, Yae T, Motohara T, Sugihara E, Onishi N, Masuko T, Yoshizawa K, Kawashiri S, Mukai M, Asoda S, Kawana H, Nakagawa T, Saya H, Nagano O.
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Journal Title
Cancer Resarch
Volume: 73
Pages: 1855-1866
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 当科における広範囲顎骨支持型装置・補綴治療の検討2013
Author(s)
奥原 優美, 臼田 慎, 莇生田 整治, 堀江 伸行, 岩崎 良太郎, 小高 利絵, 宮下 英高, 杉山 健太郎, 中川 種昭, 河奈 裕正
Organizer
第17回公益社団法人日本顎顔面インプラント学会総会・学術大会
Place of Presentation
日本歯科大学生命歯学部(東京都)
Year and Date
20131130-20131201
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