2012 Fiscal Year Research-status Report
骨折治癒過程における血管新生因子angiogeninの発現と生物学的役割の解析
Project/Area Number |
24592987
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉岡 徳枝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50362984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 朗 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00170663)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | angiogenin / 骨折治癒過程 / 骨代謝 |
Research Abstract |
本研究計画では,骨折治癒過程におけるangiogenin(ANG)の生物学的な役割について未だ解明されていない基礎的な問題を解決し,顎顔面領域の骨折治療をはじめ顎変形症手術や口腔癌切除後の顎骨再建手術などにおける術後の早期骨修復過程にANGの関与の可能性を見いだすことにより,骨再生医療へのANGの応用を展開するための研究基盤を確立することを目的とした. ANGノックアウトマウスを作製した.マウスANG -1はヒトANGと最も相同性が高く,組織分布(主に肝臓)が同じであり,血管新生能をもつことから,ANG -1 遺伝子をノックアウトした.組織特異的にノックアウトできる点,胎生致死であった場合に成体となってから薬剤誘導性にノックアウトできる点から,Cre-loxP遺伝子組換え系を用いて作製した.ANG -1遺伝子座に2つのloxP配列をもち,ANG -1を正常に発現するfloxedマウス(ANG -1loxP/loxPマウス)を作製し,全身においてCreリコンビナーゼを発現するElla-CreマウスをANG -1loxP/loxPマウスと交配させ,得られたMosaicマウスを野生型と交配し,ヘテロ接合体(ANG -1-/+マウス)を得た.さらにANG -1-/+マウス同士を交配させてホモ接合体(angiogein-1-/-マウス,以下ANG KOマウス)を作製した.ANG KOマウスは外見上ほぼ正常に産まれ,特異な表現型は認めなかった. マウス肋骨骨折モデルにおけるANGの生物学的役割に関する検討を行うために,麻酔下にて7週齢のANG KOマウスの右側第8肋骨を切断し,経時的に4% paraformaldehydeを用いて固定し,骨折させた肋骨を周囲組織とともに一塊として摘出し,脱灰標本を作製した.コントロールとしてWTマウスを使用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウスの作製に時間がかかったが,ホモ接合体(angiogein-1-/-マウス,以下ANG KOマウス)を作製することができた.今後はANG KOマウスを使用して研究をすすめていくことが可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
作製したANG KOマウスを用いて,骨折モデルの骨修復過程におけるANGの発現の検討と骨代謝機構に対するANGの役割の解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度はKOマウスを作成し,作製した肋骨骨折モデルを用いて,ANGの生物学的役割に関する検討を行う予定であったが,KOマウスの作成に時間を要したため,肋骨骨折モデルの解析にまで至らなかった.そのため,H25年度は.肋骨骨折モデルにおいてエックス線学的評価,免疫組織学的評価をそれぞれ行う.免疫組織学的評価としては,骨折部位におけるANGの局在や骨代謝機構に働く各細胞のマーカーを染色する.また,血管内皮細胞が産生するbFGFやVEGFを染色し,その発現と血管形成の関連を検討する. また骨代謝機構に対するANGの生物学的な役割の解析を行うために,骨芽細胞,破骨細胞それぞれにANGが与える影響の検討を行う.さらに,ANGが骨芽細胞,破骨細胞形成制御シグナルに与える影響についても検討を行う.
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