2013 Fiscal Year Research-status Report
ファイトケミカルを用いた癌化学療法に伴う口内炎の新規治療法の確立
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24593013
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉野 文彦 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (20308307)
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Keywords | 口内炎 / 活性酸素 / ファイトケミカル / 抗癌剤 / 抗酸化剤 |
Research Abstract |
昨年度までに抗癌剤に誘導された口内炎の初期ステージにおける活性酸素の存在の証明を行ってきたが,本年度はこの口内炎の予防・治療に応用可能な適切な抗酸化剤の探索を目的とし,各種水溶性抗酸化剤(ファイトケミカル)の検索を行った。また,測定したファイトケミカルは,臨床応用を危惧し,入手が容易であり比較的安価なものを選択した。各種水溶性ファイトケミカル (αグルコシルヘスペリジン,αグルコシルルチン,エピガロカテキンガレート,クロロゲン酸) の抗酸化作用を in vitro X-band 電子スピン共鳴法を用いてはじめに検討した。スーパーオキシドに対する抗酸化能はクロロゲン酸<エピガロカテキンガレート<αグルコシルルチン<αグルコシルヘスペリジンであり,最も強力なクロロゲン酸の IC50 は0.0037 mg/mL であった。また,ヒドロキシルラジカルに対する抗酸化能はαグルコシルルチン<エピガロカテキンガレート<クロロゲン酸<αグルコシルヘスペリジンであり,最も強力なαグルコシルルチンの IC50 は 0.0767 mg/mL であった。これらの結果に基づき,今後抗癌剤誘発性口内炎発症因子の1つであることを証明した活性酸素に対する消去作用を期待し,この疾患に対する予防・抑制効果について検討を現在進めており,αグルコシルヘスペリジン 1.0 mg/mL 前処置により口内炎の重度の軽減傾向が確認された。しかしながら,満足し得る結果ではないため,今後他のファイトケミカルにおける口内炎に対する有効作用の検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画書にしたがってin vitro 実験を行った結果,申請書を作成した際に考えられる仮説にしたがって結果が得られたため,想定内の達成度が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験結果に基づき,その他のフィトケミカルの口内炎に対する予防・治療効果についての解析を行う。また,これら組み合わせによる相乗・相加効果を期待した処置法の検討も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験が予定数実施することが出来なかった。加えて高価な活性酸素測定関連試薬が他機関より無料で供給されたため,次年度使用額が生じた。 本年度は動物実験を中心に研究を行う予定であり,この計画に付随し in vivo 測定に用いる試薬を多く購入する予定である。また,詳細な検討を目的として生化学的分析をも行う予定である。これら,研究で得られた結果を,国内外の学会にて報告する予定であり,最終的には国際雑誌に投稿予定である。
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Research Products
(2 results)