2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔がんに対する新しい分子標的薬の臨床応用に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
24593041
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
藤原 久子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (80396746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 浩之 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90267542)
堀内 俊克 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (90454165)
新井 剛 鶴見大学, 歯学部, 助教 (80454164)
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Keywords | 口腔がん / 分子標的薬 / 化学療法 / 放射線療法 |
Research Abstract |
本研究では、がん治療における化学療法・放射線療法におけるPARP阻害剤の作用増強効果を検証しており、口腔がん治療への応用化の可能性について検証している。平成24年度の研究において、口腔がん細胞をRIKENより購入してCDDPと5-FUに対するPARP阻害剤の効果を検証したところ、CDDPでは作用増強効果があることが判明した。その結果を受けて、複数の口腔がん由来細胞株のCDDPに対する感受性の変化がPARP阻害剤の有無によって変化するかを検証した。 その結果、Ca9-22とHSC-2の2系統の口腔がん細胞株において、低濃度のCDDPを投与したところ、PARP阻害剤添加群の方が、感受性が高くなっていた。 次にin vivoにおける口腔がん細胞のPARP阻害剤併用による治療効果を検証した。口腔がん細胞をヌードマウス移植して腫瘍を作製し、ある程度の大きさの腫瘍が得られた段階で、マウスに抗癌剤(CDDP)とPARP阻害剤を併用して投与した。CDDPのみ、PARP阻害剤のみを投与した群と比較したところ、CDDPのみ、PARP阻害剤のみを投与した群でも、腫瘍内部の壊死が認められたが、CDDPとPARP阻害剤を併用した群では、腫瘍壊死が強く認められ、増強効果が得られた。このことから、PARP阻害剤は口腔がんに対する化学療法において、併用効果が得られることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は、口腔がん由来細胞の培養に適切なウシ血清の検索に時間がかかり、安定した細胞培養システムを構築するのに時間を要したために、研究の進捗はやや遅れていた。適切な培養液が得られ、細胞培養システムが安定したことから、in vitroにおけるCDDPとPARP阻害剤の併用効果を検証することができた。しかし、in vivoにおいてヌードマウスに細胞移植を行い腫瘍形成させ、それに対するCDDPとPARP阻害剤の併用効果を検証する際に、ヌードマウスでの腫瘍形成システムを安定化させるのに、時間を要した。研究代表者が経験した、ES細胞の移植実験を元に、口腔がん細胞の場合にも同じように細胞移植をして腫瘍形成させたのだが、当初は全て腫瘍が吸収していた。そこで文献検索し、マトリジェルに細胞を混濁させて移植するようにしたところ、安定した腫瘍形成が出来るようになった。また、口腔がん細胞によっても腫瘍形成が出来るものと吸収するものがあることが分かり、細胞の種類によっても違うことが分かった。 現在はヌードマウスに安定的に腫瘍形成が出来るようになったことから、今後のin vivoの研究には支障はないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、引き続き、in vitroとin vivoの両方から検証を予定している。In vitroにおいては、DNA障害剤による細胞死のメカニズムを調べるために、まず、細胞のアポトーシスについては、細胞を固定後PI染色し、FACSをもちいてアポトーシス細胞の割合および細胞周期の変化を解析する。また、Widlak Pらの方法に則って2-D gel electrophoresisでも、細胞周期に対する影響を比較検証する。細胞内のATP含有量・NAD+含有量・PARP活性については、HPLCによる解析を行い、細胞周期に対する影響と併せて経時的な細胞死のメカニズムの検証を行う。 In vivoにおいては、ヌードマウスに作製した口腔がん細胞由来の腫瘍に対する抗腫瘍剤の効果について、病理組織学的な検証を進める。検体のHE染色の結果より、腫瘍の壊死形成期に顕著な違いがあることから、アポトーシスを検出するTUNEL染色をまず行う。そのあと、腫瘍細胞に特異的なCD31, Ki67, p53, VEGF, p21, cyclinD1などの免疫染色を予定している。1切片に対し1抗体で免疫染色を行うが、連続切片を用いることにより、遺伝子発現の局在から因子間の相互作用を示唆する所見が得られれば、多重染色により検討する。
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Research Products
(1 results)