2013 Fiscal Year Research-status Report
側坐核のノルアドレナリンおよびドパミン放出制御機構の研究
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24593062
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高田 耕司 日本大学, 歯学部, 講師 (00216657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 禎 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50277456)
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Keywords | アドレナリン受容体 / ノルアドレナリン / ドパミン / 側坐核 |
Research Abstract |
中脳-辺縁系dopamine(DA)神経が投射する側坐核には,青斑核や延髄腹側部からのnoradrenaline(NA)神経が入力している。側坐核では,DA神経終末に分布するβ受容体刺激を介してNA神経がDA放出を促進的に制御することを我々は報告してきた(Eur J Pharmacol. 2008, 601, 94-98)。一方,β受容体にはβ1とβ2の少なくとも2種類のサブタイプがあり,いずれも側坐核に分布している。当該年度は,無麻酔非拘束ラットを用いたin vivo脳微小透析法により,側坐核におけるβ受容体を介したDA神経活動促進へのβ1とβ2受容体サブタイプの関与について検討した。β1受容体agonistのdobutamine(DOB),β2受容体agonistのsalbutamol(SAL),非選択的β受容体antagonistのpropranolol(PRO)はいずれも灌流液に溶解して,側坐核へ微小透析プローブを介して単独または併用灌流投与した。 その結果,DOB(0.06,0.12 pmol),SAL(0.36,3.6 pmol)をそれぞれ単独で灌流投与しても側坐核のNAおよびDA量には目立った変化は認められなかった。これに対し,0.06 pmolのDOBと3.6 pmolのSAL,0.12 pmolのDOBと0.36または3.6 pmolのSALの併用投与はいずれも側坐核のNA量には影響を与えずにDA放出を促進した。PRO(1.2 nmol)の前処置の結果,DOB(0.12 pmol)とSAL(3.6 pmol)の併用投与が誘発したDA量の増加はほぼ完全に消失した。 以上の結果から,側坐核のDA神経終末に分布するβ1およびβ2受容体はそれぞれ単独ではなく同時に刺激することによってDA神経活動を促進することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初,当該年度いっぱいかけて行う予定で会ったβ受容体系薬物の投与実験を昨年度の後半には終えることができ,研究成果を今年度の早々にEuropean Journal of Pharmacology誌に出版できた。また,本研究プロジェクトの成果の一部は,2014年3月に宮城県仙台市で行われた日本薬理学会で発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に「前倒し請求」を行って開始したα受容体系薬物,β受容体系薬物をそれぞれ用いた研究は順調に成果をあげている。当該年度は,側坐核におけるドパミンまたはノルアドレナリンの神経終末からの放出を調節する可能性が示唆されているアセチルコリンの作用機構に着目した研究に着手することを計画している。 【役割分担】統括:高田耕司(研究代表者),神経化学・行動学・組織学実験の遂行・助言:三枝 禎(研究分担者),神経化学・行動学・組織学実験の遂行:内田琢也(研究協力者),青野悠里(研究協力者),関野麗子(研究協力者),田口寛子(研究協力者),木口友里(研究協力者) 研究の助言:J. L. Waddington(海外研究協力者)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定の実験が完了した際,残金の67円に該当する試薬・消耗品が見つからなかったため次年度使用額に充てることにした。 当該年度(平成26年度)は物品費(実験動物,試薬,HPLC用消耗品の購入)として100万円,旅費(国際神経薬理学会:カナダ,日本薬理学会:名古屋での発表のための交通費・滞在費)として30万円をそれぞれ使用する計画である。残金の67円は,物品費のうち試薬代の一部として使用する予定。
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